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2016 Fiscal Year Research-status Report

新規HIF-1阻害薬LW6のEMT抑制作用に新たな放射線併用療法を見出す

Research Project

Project/Area Number 15K19764
Research InstitutionHirosaki University

Principal Investigator

佐藤 まり子  弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30645263)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords上皮間葉転換 / HIF-1α / HIF-1阻害剤 / 低酸素 / 放射線治療 / 創傷治癒アッセイ
Outline of Annual Research Achievements

腫瘍微小環境における低酸素状態はがん放射線治療の抵抗因子となる。この治療抵抗性誘導の一端を担うHypoxia inducible factor-1α (HIF-1α)は、腫瘍の再発・転移促進に働くことが徐々に明らかとなってきた。近年開発された薬剤LW6は、HIF-1α蓄積を阻害して低酸素腫瘍の治療抵抗性改善に働くことが期待されるが、詳細な作用についてはまだ不明な点が多い。
我々はこれまでの研究で、新規HIF-1α阻害剤であるLW6が、ヒト肺腺癌A549細胞における低酸素誘導性EMT(Epithelial-Mesenchymal transition、上皮間葉転換)を抑制することを明らかにした。
次に、照射による細胞運動能の評価を行うため、A549細胞を用いて創傷治癒アッセイを行った。正常酸素(21%O2)下で細胞を培養後、10GyのX線を照射し、直後に細胞培養面へ創傷を形成した。24時間経過した後、顕微鏡で観察して創傷幅を計測した。さらに、10Gyを照射する2時間前にHIF-1阻害剤であるLW6、YC-1、JNK阻害剤であるSP600125をそれぞれ培地に添加し、同様に創傷治癒アッセイを行って、細胞運動性に対する阻害効果を評価した。
結果、X線照射によって創傷治癒は促進され、細胞運動能は更新した。LW6、YC-1、SP600125はいずれも、照射誘導性創傷治癒促進作用を有意に抑制した(P < 0.01)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の目的は、「低酸素腫瘍細胞に対する放射線照射が与えるEMTへの影響とそのシグナル伝達経路をあきらかにして、新規HIF-1α阻害剤であるLW6が、照射後の生残細胞に誘導されるEMTとこれに伴う浸潤能を多段階的に抑制することができるかを検討すること」である。これを達成するために必要な研究小課題に、①低酸素および放射線照射によるEMT誘発に関連するシグナル伝達経路の詳細とそれらの相互作用機序、②LW6が低酸素誘導性のHIF-1を阻害するだけでなく放射線誘導性JNKの活性化をも阻害する、③LW6が低酸素および放射線、および両者の相互作用によって誘発されるEMTの誘導を抑制する、という3点を明らかにすることとしてあげた。
これまでに、LW6により低酸素誘導性および照射誘導性EMTがいずれも抑制されることを明らかにした。さらに、低酸素曝露によりp-JNK発現が増強し、LW6によってこれが抑制されることも示された。
しかしながら、当初は2年間で目的を達成する予定であったが、照射誘導性EMTのシグナル伝達経路およびLW6の作用機序解明には至っておらず、本研究はやや遅れていると判断せざるを得ない。

Strategy for Future Research Activity

研究の目的達成のため、前年度に引き続き照射誘導性EMTの発現機序とこれに対するLW6の阻害作用に関して実験を行い、検討を重ねていく。
具体的には、まずはin vitroにて、LW6を培地に投与して培養した細胞にX線照射を行い、通常酸素下で培養し、細胞を回収してタンパク質発現量をウエスタンブロット法にて評価する。
さらに、in vivoにて、転移の主要なステップである細胞移動、転移巣形成についても評価を行い、LW6の転移抑制効果について検討する。

Causes of Carryover

当初予定していた実験計画に若干の遅れが生じたため、消耗品の購入費や研究成果の学会発表のために計上した旅費等に関して、未使用額が生じ、次年度使用額が発生した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当初の研究計画に大幅な変更はなく、LW6が腫瘍細胞の低酸素誘導性および照射誘導性EMTに対する抑制能を有するか否かについて検討を重ねていく。これを確認するため、引き続き細胞浸潤アッセイやウエスタンブロット、in vivo実験を行うこととし、これに必要な消耗品の購入にあてる。

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Published: 2018-01-16  

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