2015 Fiscal Year Research-status Report
確率論的アプローチによる新規脳PET画像解析法の認知症診断への臨床応用
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15K19766
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒井 晃 東北大学, 大学病院, 助教 (80722553)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PET / 部分容積効果補正 / 認知症 / アルツハイマー病 / FDG / アミロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドPET 等の脳PET 画像はアルツハイマー病の早期診断に有用であるが、画像分解能が低いために近くにある組織の集積が混ざり合う部分容積効果が生じてしまう。部分容積効果を補正する様々な手法が開発されているが、アミロイドPET 画像のように灰白質の近くに不均一な集積が存在すると、その影響を効果的に取り除くことが難しい。そこで申請者は、集積の不均一性を前提としたより精度の高い手法が必要と考え、新たな部分容積効果補正法を考案した。 研究期間初年度には、考案したアルゴリズムに基づき、数値計算ソフトウェアを用いて臨床画像に応用可能な部分容積効果補正プログラムの構築を行った。実際のPET装置で撮影されたファントム画像を用いて、必要なパラメータの設定を行った。コンピュータ上で再現したシミュレーションPET画像に対して開発したプログラムを実行したところ、意図するような画像補正が可能であり、補正の妥当性を確認した。 さらに、東北大学の倫理委員会の承認下で、実際のヒトの脳FDG PET画像を用いて、開発した部分容積効果補正プログラムの検証を行った。その結果、元のPET画像の画質に依存してアーチファクトを生じ得ることが明らかになったが、プログラムに改良を加え、必要なパラメータの設定を行うことにより解決した。また、今回開発した部分容積効果補正のステップを含む、補正処理全体のフローを見直すことにより、処理時間を全体で1時間未満(補正プログラム実行時間は10~15分程度)にまで短縮することができ、臨床応用も十分に可能なPET画像補正処理システムを構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間初年度の前半は、実際のPET画像を用いた検証で明らかになった問題点の解決に時間を要したが、最終的に初年度に予定していた段階まで到達することができた。開発手法の特許出願準備に時間を要しているため、成果を公表することができていないが、研究はおおむね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、開発した補正プログラムの検証実験を重ね、問題点の洗い出しや、Muller-Gartner法等の従来法との比較によって本法の優れている点を明らかにする。 今後は当初の予定通り、アミロイドPET画像に本補正法を応用してその有用性を検討し、本法を用いたアルツハイマー病の診断法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
開発したPET画像補正システムの特許出願の準備に時間を要しているため、学会発表や論文執筆にかかる費用を次年度に持ち越したため。また、脳PET画像解析に用いるソフトウェアの購入も次年度に持ち越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の未使用金は、平成28年度分と合わせて使用する予定である。まず平成27年度に予定していた特許出願を次年度に予定しているため、それにかかる費用を支出する予定である。また、米国核医学会年次総会で成果の一部を発表する予定であり、その旅費・参加費の支出を予定している。今後アミロイドPET画像での検討において使用する予定である脳PET画像解析ソフトウェアを購入する。その他、今後臨床データの解析を本格的に進めるにあたり、データ保存用の記録媒体等の購入も必要である。
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