2015 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞肺癌における重粒子線と抗癌剤併用療法の開発
Project/Area Number |
15K19770
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久保 亘輝 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (30727813)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 炭素イオン線 / 化学放射線療法 / 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌の治療において放射線治療は重要な役割を果たしているが、未だに満足のいく治療成績とはいえない状況である。重粒子線(炭素イオン線)は集中性の良い線量分布と強い生物効果の両面を持ち、局所進行肺癌では炭素イオン線と化学療法の併用療法が期待されているが、その有用性は未知数である。本研究では肺癌細胞における化学療法併用炭素線治療の分子的メカニズムをin vitroで探索し、in vivoでの検証後に、最終的には局所進行肺癌患者に対する化学炭素線療法の第1相臨床試験を本学で行い、最適な化学療法と炭素イオン線治療の組合せを検討し局所進行肺癌の治療成績の改善を図る。遺伝子プロファイルが異なる複数の細胞に対する各抗癌剤の併用効果を明らかにする。 これまでの研究実績として、非小細胞肺癌株であるA549とH460に対するシスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセルの生存率をコロニーアッセイで測定した。さらにX線及び炭素イオン線における生残率をコロニーアッセイで測定した。放射線(X線と炭素イオン線と)併用する薬剤濃度はIC50となった濃度を用いて、その増感効果を測定した。現時点の結果では、H460細胞を用いた実験ではX線および炭素イオン線の両線質においてカルボプラチンは増感効果を示した。また、パクリタキセルにおいても増感効果を示した。その一方でA549細胞ではX線、炭素イオン線において有意な増感効果を認めなかった。タンパク質の発現濃度を調べるために、ウェスタンブロット法を行い、照射からの経過時間、照射線量との相関関係に関して解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しく使用した細胞の増殖速度が遅く、当初予定していたコロニーアッセイなどの実験結果が困難であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通りに研究を進めていく。細胞の実験では、新しい細胞にてこれまでの結果の妥当性を確認するとともに、Toulany Mらが近年報告したX線と抗癌剤の併用効果に関する分子生物的な結果などを炭素線においても検討する。
|
Causes of Carryover |
新しい細胞の購入を予定していたが、実験の遅れにより年度内での購入ができなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度に購入予定。
|