2015 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた、放射線による唾液腺障害の回復に関する研究
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15K19790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 和彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (70718981)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線治療学 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部は呼吸や摂食嚥下、発声に関わる重要な部位であり、その頭頸部癌は全癌患者のうち 約 5%を占める。頭頸部癌における根治的放射線治療の副作用として唾液腺分泌障害が問題となるが、根本的な 治療法は現在存在しない。そこで安全かつ容易に大量に採取できる脂肪組織由来間葉系幹細胞 (ADSC)を用いて放射線性唾液腺障害の回復をはかるとともに、そのメカニズムの解明を第一 の目的とする。さらに ADSC による頭頸部癌への影響についても明らかにする。 初年度は、まず先行論文に倣い、マウスの唾液腺から唾液腺細胞を接着培養系に移すことを試み、それに成功した。それらの細胞は唾液腺細胞のマーカーとされるアクアポリンの遺伝子発現が高くなっていた。次に、唾液腺細胞のクロノジェニックサバイバルアッセイを行った(2~10Gy)。ここで、ADSC を数日培養しその培養液を採取し、放射線障害を受けた唾液腺細胞の培地にその培養液を加えた。これによって放射線障害された唾液腺細胞が、ADSC による傍分泌作用によって放射線障害から回復するかどうかを明らかにし、また回復が認められた場合、ADSC の培養液に含まれる液性因子をフローサイトメトリーを 用いて解析して含有物質を特定しようとした。しかしながら、唾液腺細胞のクロノジェニックサバイバルアッセイの際に、 ADSCの培養上清を加えた場合には、予想に反して有意な改善は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、唾液腺細胞の培養に難渋し、in vitroでの実験がうまく立ち上がらなかった。試行錯誤の結果、1年かけてようやく唾液腺細胞の放射線耐性を確認できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウスの唾液腺に限局して様々な線量の放射線を照射し、以後定期的に(照射前、照射後 0~20 週間程度)麻酔下でマウス口腔内にコットンを含ませ、そのコットンに含まれる唾液重量を精密に測定する方法を確立する。最後にマウスをサクリファイスして唾液腺組織の HE 染色を行ってマウスの唾液腺を観察し、腺房細胞や腺管細胞の炎症、線維化、閉塞を観察する。その結果からマウス唾液腺機能廃絶に適当な線量を決定する。その後、実際に放射線照射時にADSCを投与すると唾液腺機能が温存されるかどうかを確認していきたい。
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Causes of Carryover |
当初の予定通りに研究が進まず、予定していた試薬などの購入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、予定通り試薬の購入を進められる見込みであり、適切な予算執行ができると考えられる。
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