2015 Fiscal Year Research-status Report
超高磁場3次元高解像度血管壁MRIによる頭蓋内微細動脈硬化性病変の診断法の確立
Project/Area Number |
15K19811
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
名取 達徳 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60740628)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 3次元血管壁イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)先行研究である3 Tesla MRIでの3次元血管壁イメージング法の確立:我々が開発し、進めてきた3 Tesla MRIでの3次元血管壁イメージングの定量的評価方法を確立した。その研究では、3次元血管壁イメージングではラクナ梗塞群では、M1プラークの信号強度は、健側と比較し患側で上昇傾向であったが、動脈硬化がより高度であると考えられる非ラクナ梗塞群では健側の信号強度も上昇していた。また、造影効果については、ラクナ梗塞群では患側のみにみられたが、非ラクナ梗塞群では健側にもみられた。これらの結果から3次元血管壁イメージングは、頭蓋内主幹動脈の存在診断のみでなく、質的診断に有望である可能性を示した。 (2)高分解能高コントラスト3次元血管壁イメージング法の開発:1.5-/3-Tesla MRIでの3次元血管壁イメージング法を7 Tesla装置に移植し、撮像パラメータを最適化した。 (3)高解像度3次元撮像法によるプラーク性状識別能の検証と評価法の確立:レンズ核線条体動脈(LSA)領域の急性期ラクナ梗塞患者11名に対して、7 Tesla MRIでMRA、3次元血管壁イメージングを撮像。3次元血管壁イメージングでは、M1のプラークの有無と信号強度、LSA近位部の血管壁肥厚の有無、LSA遠位部の血管異常信号の有無について評価し、それらをMRAの血管閉塞所見と比較した。結果としてMRAで患側LSA遠位部で閉塞を認めた症5例中4例で患側LSA遠位部に高信号を認めた。全例でLSA近位部に血管壁肥厚は認めず、一方全例でM1プラークを認めた。これらからLSA領域梗塞がsmall vessel diseaseではなくmicroatheromaが関係している可能性が考えられた。7 Tesla MRIを用いて3次元血管壁イメージングを行うことで脳梗塞のさらなる病態解明に寄与できる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究である3 Tesla MRIでの血管壁イメージング法を確立し、7 Tesla MRI装置に移植。実際の患者をエントリーし国内学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)高解像度3次元撮像法によるプラーク性状識別能の検証と評価法の確立:引き続き中大脳動脈穿通枝であるレンズ核線条体動脈(LSA)領域の急性期ラクナ梗塞患者をエントリーし、7 Tesla MRIでMRA、3次元T1強調血管壁イメージング、拡散強調画像を撮像する。 (2)3次元血管壁イメージング法の定量的評価法の確立:プラークの存在診断や信号強度などの質的診断について最適でかつ普遍的な定量評価法について確立する。 (3)3次元定量解析法による経時的な評価法の確立:エントリーした同患者での1ヵ月後、6ヵ月後の3次元血管壁イメージング法の定量的評価を行う。 (4)抗血小板剤、スタチンなどの薬効評価サロゲートマーカー指標の確立:その後、薬効評価のサロゲート指標になりうるか評価する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は7-Tesla MRIでの3次元血管壁イメージング法の開発を行い、少数の患者に対してpreliminary studyとして画像解析や統計解析を行った。また、国際情勢が不安定であり、予定していた海外学会での発表を次年度に見送ったことも要因と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は本格的に患者をエントリーし、その成果を国内学会のみではなく国際学会で発表する予定である。
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Research Products
(3 results)