2015 Fiscal Year Research-status Report
低線量・低線量率の放射線治療効果向上を目的とした新規放射線増感剤の開発
Project/Area Number |
15K19814
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 陽平 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (10613698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線増感剤 / トランスグルタミナーゼ2 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線併用治療の適応拡大、特に低線量・低線量率での放射線治療効果向上を目的とし、放射線照射によるDNA損傷非依存的な細胞死を誘導する新規の手法の開発を目指し研究を進めている。この目的を達するために、トランスグルタミナーゼ2(TG2)を標的とした放射線増感剤の開発を行っている。本年度は、放射線照射による細胞死に対するTG2機能解析のために、DNA修復能の高い放射線耐性がん細胞とその親株である肝がん細胞であるHepG2にTG2変異体(W241A, C277S, Y516F, R580A)を強制発現させた細胞株の樹立を行い、放射線照射による細胞死に対する影響を調査した。HepG2にTG2を過剰発現させると血清飢餓状態による細胞死に対してだけではなく、放射線に対しても抵抗性を示すようになったが、TG2-C277S発現HepG2(HepG2-TG2-C277S)では、血清飢餓状態の細胞死には抵抗を示したが、放射線照射によるアポトーシスは増加することが確認された。同様にTG2-C277Sの過剰発現は、放射線耐性がん細胞においても細胞死の増加を誘導し、放射線感受性が増加していることが明らかとなった。TG2による放射線抵抗性の作用機序解明のために作成した細胞膜局在型TG2発現HepG2は、血清飢餓状態における細胞死に高い抵抗性を示したが、放射線誘導性細胞死に対しては全く抵抗性を示さなかった。これらの結果は、TG2をターゲットとした放射線増感剤の可能性を示しているが、その作用機序は今後も引き続き解析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜局在型TG2に放射線誘導性細胞死への耐性能を期待していたが、全くその作用がないことが明らかになった。しかしながら、TGase活性が放射線誘導性細胞死抑制に寄与することが示唆されたため、今後はこの点について詳細に解析を続けていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、予定通り、神経細胞における細胞膜局在型を含むTG2変異体の発現が及ぼす放射線感受性への影響及びアルツハイマー病、パーキンソン病を含む神経変性疾患への影響を調べるため、TG2変異体発現神経細胞の作成及び機能評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
TG2発現細胞における薬剤線抵抗性の解析についての実験に関して一部順序を変えて行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TG2発現細胞における薬剤線抵抗性の細胞内シグナル解析について、ウェスタンブロット法を中心に行う。
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