2015 Fiscal Year Research-status Report
腎腫瘤に対する造影超音波検査の有用性の検討-従来の診断学の課題克服を目指して-
Project/Area Number |
15K19815
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
秋田 大宇 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10383697)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線 / 超音波診断学 / 造影超音波検査 / 腎腫瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の腎腫瘤の画像診断学では、その質的診断に造影CTあるいは造影MRIが必須とされる。そのため気管支喘息や腎機能障害、造影剤アレルギーなど種々の要因により、CTやMRIの造影剤を使用できない患者に対しては、腎腫瘤の質的診断が困難になるという大きな問題がある。また小さな腎腫瘤 (小径腎腫瘤)の良悪性の鑑別、透析患者の腎腫瘤の血流評価、嚢胞性腎腫瘤の隔壁の評価に対しても、従来のCT検査やMRI検査では困難な場合がある。本研究では造影超音波検査による腎腫瘤の診断能を検討し、従来の画像診断方法に対して、どのような有用性をもたらすかを検証している。 主な検査対象は、良悪性の鑑別が困難な小径腎腫瘤を有する患者、他検査で腎腫瘤が疑われているが、種々の要因により造影CTや造影MRIが施行できない患者、他検査で腎腫瘤が疑われている透析患者、他検査で嚢胞性腎腫瘤が疑われている患者である。しかし現在本邦では腎腫瘤に対する造影超音波検査は保険適応外である。そのため倫理委員会での承認を経て、患者の同意を得たうえで、腎腫瘤に対する造影超音波検査を実施しているが、その際の検査費用を科研費で負担している。平成27年度には科研費によって計29名の造影超音波検査を実施できた。まだ症例数が十分でないため、今後も引き続き科研費により造影超音波検査を実施していくつもりである。 また平成27年度以前に施行された検査と合わせて、透析患者の腎腫瘤の血流評価について、平成28年5月にThe 12th Asian Federation of Societies for Ultrasound in Medecine and Biologyで学会発表を行うことになっている。さらに腎腫瘤のマネージメントにおける造影超音波検査の意義について、平成28年5月に日本超音波医学会 第89回学術集会で学会発表を行うことになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波検査費および造影剤費用を科研費で負担しているが、平成27年度に29名の検査を科研費で施行した。これは当初の研究実施計画にほぼ沿った内容であるから。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降も引き続き科研費で腎腫瘤に対する造影超音波検査を施行していく。また ① 透析腎に合併する腎細胞癌の造影超音波検査と造影CTの診断の比較 ② 小径腎腫瘤の良悪性の鑑別に対する造影超音波検査の有用性について ③ 造影CTや造影MRIが施行できない患者の腎腫瘤に対する造影超音波検査の有用性 ④ 嚢胞性腎腫瘤に対する造影超音波検査と造影CTあるいは造影MRIの診断の比較 などにつき、検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き科研費で造影超音波検査費用を賄う(21780円/人)。また関係学会への出張費や論文の翻訳校閲費も計上する。
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Research Products
(2 results)