2016 Fiscal Year Research-status Report
学習による脳可塑的変化を解明する神経細胞構造MRIの開発
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15K19829
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
笠原 和美 (疋島和美) 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 特別研究員 (30706164)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Functional Connectivity / 可塑性 / リハビリテーション / 個人差 / MRI / rsfMRI / 拡散スペクトラムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳機能障害からのリハビリテーション治療では、脳機能の回復とともに脳の可塑的変化が誘導される。しかし、この機能回復や可塑的変化の誘導には個人差があり、十分な回復効果を得られない場合もあり、治療を難しくしている。加えて、この個人差が脳のどのような事象に起因しているのか、まだ理解が乏しい。そこで本研究では、脳の微細な構造変化を評価できる新しい神経細胞構造MRIの開発を目的として研究を行った。 初年度に導入した白質の微細構造を反映するDiffusion Spectrum Imaging(DSI; 拡散スペクトラムイメージング)や、安静時の脳機能の連絡を評価するResting State functional MRI(rsfMRI; 安静時脳機能計測)を用い、リハビリテーションを想定した運動学習が、マウスの脳にどのような可塑的変化を誘導するのか調べた。2週間の運動学習によって、マウスの運動皮質と小脳山頂を結ぶの脳機能連絡functional connectivityが高まる傾向にあった。このfunctional connectivityは、rsfMRIから計算した。また、このfunctional connectivityの変化量や学習成績にも個体差があった。今後、脳画像と行動成績の両者の関係をより詳細に検証することで、本研究の目的である脳の可塑的変化の個人差の解明とその技術開発に近づくと考える。今年度までに、20匹のマウスのMRIと運動学習実験を実施した。次年度は、引き続き匹数を増やし成果報告を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から今年度初めにかけて産休を取得し研究を中断したが、当初の計画に基づきおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初の予定通り解析を進め、リハビリテーションによる脳の変化の個体差を明らかにする。また、学習実験のマウスの匹数を増やし、結果をまとめて学会発表や論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
今年度初めまで、産休による中断期間があり、旅費等の使用が少なかった。また今年度6月より雇用したパートタイム実験補助員が、途中から研究室の雇用に替わったため、人件費の使用も予定より少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リハビリテーションの効果を高めるために、次年度は経頭蓋直流電気刺激を行う。そのため、次年度開始直後に、経頭蓋直流電気刺激に必要な電気刺激装置や電極など購入する。
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