2015 Fiscal Year Research-status Report
PET検査における入力関数測定の無採血化法の開発と応用
Project/Area Number |
15K19840
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
井口 智史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (60635928)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 入力関数 / O-15ガス / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの核医学検査は、生体の機能情報を反映した画像の取得に優れているが、正しく病態を理解するためには生理学的指標に基づく診断が不可欠である。そのためには、画像を普遍量に変換する必要があるが、薬物動態解析に基づく定量的機能画像の算出を行う場合、入力関数と呼ばれる動脈血中放射能濃度の時間曲線が必要となる。入力関数は臨床では主に持続動脈採血から得られるが、動脈への穿刺は、患者への負担、煩雑性、検査時間の延長などの点から排除する事が望まれている。当該研究では、PET画像の頸部領域から無採血かつ非侵襲に入力関数を推定する手法を開発し、O-15ガスPET検査においてその妥当性を確認する事を目的としている。 国立循環器病研究センターにおいて、O-15ガスPET検査を実施し研究に同意の得られた健常・患者ボランティアデータにおいて、リファレンス領域を利用した無採血入力関数推定法の妥当性を確認した。解析モデルを用い得られたPET画像から入力関数を推定し、局所脳血流量(CBF)、局所酸素消費量(CMRO2)、酸素摂取率(OEF)、局所血液量(CBV)を求め、それらのパラメータ及び推定入力関数が、動脈採血により得られた結果と一致するかどうかを検証を行った。また、画像再構成法による解像度やS/N比の向上が当該手法にもたらす効果についての検討を行った。 本手法による頸動脈領域からの無採血入力関数推定は、PET画像単独での無採血定量を可能にし、従来法に比してCBV補正が可能である。参照領域におけるCBF値のリファレンス値のずれにより定量値は変化するものの、画像コントラストに関しては大きく変動せず、画像再構成法の進歩により、本無採血定量法はより実用的となることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
得られた研究実績を学会、論文等を通して積極的に外部に発信していく必要がある。また、現状、画像解析は研究代表者のみにより行われており、反復的かつ再現的に、解析者に依存しないための入力関数データを取得するためのソフトウェア開発を行っていく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
反復的かつ再現的に入力関数データを得るためにはソフトウェアの開発が必要であり、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)ベースでの半自動入力関数推定ソフトウェアの開発を行っていく。このソフトウェアは、得したPET画像データの取り込み、関心領域設定、PET画像からのリカバリ係数・スピルオーバー係数の算出、入力関数データの書き出し、多断面再構成、動態解析による脳機能画像の算出の処理を含む。 また、本研究実績を学会、論文等を通じ積極的に社会に発信していくことを試みる。
|
Causes of Carryover |
当該年度において研究成果を英文論文、および、国内・外国の学会にて発表を行う予定であったが遅れが生じたため。また、当該年度に購入予定であった、高性能コンピュータ等の物品購入を翌年度に遅らせているため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究成果を英文論文として投稿予定であり、そのときの別刷代及び外国論文校閲代として使用予定。また、研究成果を国内および外国の学会にて発表を行うため、その時の旅費として使用予定である。 無採血入力関数推定ソフトウェア開発を行っていくにあたり、高性能コンピュータ、および、数値計算プログラミングソフトとしてMATLABによる開発環境が必要であり、その購入費用として使用を計画している。
|