2017 Fiscal Year Research-status Report
CSF-1受容体陽性マクロファージ制御による、小腸移植後免疫抑制療法の確立
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15K19842
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 博典 東北大学, 大学病院, 助教 (00723032)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小腸移植 / 急性拒絶反応 / 自然免疫 / 移植免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸移植は不可逆的腸管不全患者の根治的治療である。導入免疫抑制療法の導入等により短期成績は向上したが、中長期的成績は未だ発展途上である。成績向上には免疫抑制療法の強化が必要だが、感染症の対応にも苦慮しており、既存のリンパ球制御を主とした免疫抑制療法には限界と考えた。 そこで、我々は、小腸移植の新たな免疫抑制療法のターゲットとしてマクロファージに着目した。2011年に取得した科研費(基盤C)による、ラット小腸移植モデルを用いた急性拒絶反応時の腸管マクロファージのサブセットについてのフローサイトメトリーを用いた解析では、ED1/2/3マーカーによる4つのサブセットが存在し、とりわけ急性拒絶反応に強く関与するサブセットが存在することを発見した。 一方で、マクロファージの起源、発生過程については、単球/マクロファージの分化・増殖を刺激する造血系サイトカインであるマクロファージコロニー刺激因子(CSF-1)に関する知見を得た。また、CSF-1受容体陽性マクロファージが、虚血再還流障害や急性拒絶反応において、多数組織へ移行することも知られ、腎移植のラット実験にて、同剤の投与が急性拒絶反応を軽減することが報告されていた。 よって、今回、CSF-1R阻害剤を用いて、選択的にCSF-1R陽性腸管マクロファージを枯渇させ、小腸移植後急性拒絶反応の発症を抑制するという、新たな免疫抑制療法の確立を目的とする研究を開始した。これまでの研究では、CSF-1受容体葬儀剤を投与し、正常ラットの血中単球が減少し、また、急性拒絶モデルでは、拒絶反応の所見が軽減するという結果を得た。しかし、マクロファージのサブセットの解析や機能評価等の詳細な評価は行えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットモデルは既に確立し、平成27~28年度で、薬剤の効果判定、マクロファージの動態変化・機能の解析を粉う予定であった。しかし、研究協力者が平成27年度初期より不在となり、また、その後の研究体系・組織の形成も十分に行えなかったため。 新たな人員確保も困難なため、代表者自身が研究の中心となり進めることを想定したスケジュールを検討したが、研究再開には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな人員確保も困難なため、代表者自身が研究の中心となり進めることで、今一度スケジュールを作成する。 H29年度で研究が完遂できなかったため、研究期限延長を申請し承諾された。
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Causes of Carryover |
研究が計画通りに進行しなかったため。よって、研究の延長申請し、研究を完遂する予定である。
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Research Products
(3 results)