2015 Fiscal Year Research-status Report
胃癌におけるMAGE-D2遺伝子の包括的機能解析と、新規血清マーカーへの応用
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15K19846
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 良二 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60747830)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MAGE-D2 / 胃癌 / 血清マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、いまだ予後不良な進行胃癌を克服するための個別化治療を実現するための新規分子標的治療薬と、正確な診断および臨床病期決定のための鋭敏でかつ病態を反映し得る腫瘍マーカー開発の基盤となる知見を得ることを目的としている。そのため、申請者らがその発現亢進が胃癌の進展・予後と強く相関し、優れた予後因子となりうることを見出したMAGE-D2遺伝子に着目し、胃癌の診断、治療における臨床応用の可能性を追求している。平成27年度に予定していた研究はMAGE-D2遺伝子の機能解析である。 ・ノックダウン実験;予備実験より得られた結果から、MAGE-D2高発現細胞株を選別し、これらに対し、siRNA法によるMAGE-D2のノックダウンを行い、それによる細胞株の増殖、遊走、浸潤能の変化を調べる。 ・上皮間葉移行(EMT)とMAGE-D2発現との相関性検討;癌細胞の転移・進展にはEMTが重要な役割を担っており、この過程にMAGE-D2がどのように関連しているかをPCR array法で調べる。 現在までの研究実績の概要を以下に記す。 ・in vitro実験;MAGE-D2高発現胃癌細胞株(MKN1, NUGC2)を対象としてMAGE-D2に特異的な、siRNAを用いたMAGE-D2のノックダウンを行った。それにより、胃癌細胞株の増殖能、遊走能の低下を認めた。 ・MAGE-D2関連分子の同定; 84種類の癌関連主要分子の発現を網羅的に解析するPCR arrayによって、MAGE-D2の発現度に相関性を有する分子として、MMP3、COL1A2、VCANが検出された。 ・血清検体の準備;今後の研究計画に必要となる、胃癌および非担癌者の血清検体を倫理委員会の承認のもと収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず研究計画に則り、MAGE-D2遺伝子の胃癌における機能解析に着手した。siRNA法によるMAGE-D2のノックダウン実験では、MAGE-D2高発現株のMKN1およびNUGC2の2種類の胃癌細胞株に対して、ノックダウン前後での細胞株の増殖、遊走、浸潤能の変化を調べている。いずれもノックダウンによる増殖能と遊走能の有意な抑制を認めた。また、MAGE-D2がどのような癌関連分子(EMTを含む)やsignaling pathwayと関連して胃癌悪性度に関与しているかを調べるため、PCR array法によって癌関連腫瘍分子の発現度を網羅的に調べ、MAGE-D2発現との相関性を解析したところ、MMP3、COL1A2、VCAN の発現と有意な正の相関関係が見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
主に、MAGE-D2の胃癌血清診断マーカーとしての有用性の検証を検証していく。胃癌患者および健常者血清検体のおけるMAGE-D2値測定を行う。胃癌症例から、名古屋大学医学部附属病院倫理委員会の指針に則った文書による同意を得た上で、各治療段階における血清検体を採取している。比較対照群としてとして、健常者ボランティアの血清も採取している。血清検体は採取後速やかに-80℃下で保存する。また、検体採取と同時に一般血液検査に加えて血清CEA、CA19-9のデータも蓄積していく。検体準備が進んだところでELISA法による血清MAGE-D2レベルを測定し、組織中MAGE-D2発現度や各種臨床病理学的因子との相関性を解析する。
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Causes of Carryover |
Western blotting用の抗体・ノックダウン試薬類が当初の予定より安く購入できたため、次年度使用額を生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
血清値測定のためのELISA kit費用に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] The Expression of Melanoma-Associated Antigen D2 Both in Surgically Resected and Serum Samples Serves as Clinically Relevant Biomarker of Gastric Cancer Progression2016
Author(s)
Mitsuro Kanda, Shuji Nomoto, Hisaharu Oya, Hideki Takami, Dai Shimizu, Soki Hibino, Ryoji Hashimoto, Daisuke Kobayashi, Chie Tanaka, Suguru Yamada, Tsutomu Fujii, Goro Nakayama, Hiroyuki Sugimoto, Masahiko Koike, Michitaka Fujiwara, Yasuhiro Kodera
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Journal Title
Annals of Surgical Oncology
Volume: 23
Pages: S214-S221
DOI
Peer Reviewed / Open Access