2016 Fiscal Year Annual Research Report
Discovery of long non-coding RNA biomarkers for predicting the prognosis of HCC
Project/Area Number |
15K19848
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
園原 史訓 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (30745534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | lncRNA / 肝細胞がん / リスク因子 / 背景肝 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌(HCC)は腫瘍切除後に約70%と高頻度に残肝再発を生じるが、これには肝内転移と多中心性発生の異なる様式がある。このため、腫瘍部とともに背景肝の遺伝子変化を考慮することが重要である。細胞内に多量に存在するlong non-coding RNA(lncRNA)からHCCの予後予測バイオマーカーの候補となる分子を見出すことを目的とした。 転移性肝癌の正常肝部分(SN)とHCC背景肝(CN)とを発現アレイを用いて比較することにより、HULCとMALAT1が抽出された。158例のHCC切除検体において、HULCの発現はCNより腫瘍部で有意に高値であった。一方、MALAT1の発現はCNとHCCで有意差を認めなかった。CNの各lncRNA発現と各臨床病理学的因子とには有意な関連を認めなかったが、腫瘍部のHULC発現は被膜形成を認めるHCCで有意に高かった。また、腫瘍部のMALAT1発現は2cm以上のHCCで有意に低かった。また、HULCとMALAT1の発現は血清α-フェトプロテイン20 ng/ml以上のHCCでそれ未満のHCCよりも有意に低値であった。腫瘍部のHULC・MALAT1発現に従い、158例を二群に分けると全生存期間でそれぞれの発現高値群は低値群よりも有意に予後が良好であった。 SNとCNを比較したマイクロアレイ結果に基づいてHULC・MALAT1の発現を臨床検体で検討したが、実際はCNにおける発現変化ではなく、HCC腫瘍部の発現高低が予後に影響していた。HULCとMALAT1の腫瘍における発現と各臨床病理学的因子との検討および予後との検討からHULC・MALAT1の発現量はHCCの腫瘍としての悪性度と関連する可能性が示唆された。今後のさらなる検討により、この二つのlncRNAがHCC予後予測の有用なバイオマーカーとなる可能性がある。
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