2015 Fiscal Year Research-status Report
消化器外科手術切除断端へのRapid QMSP法の応用
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15K19850
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高野 奈緒 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50747847)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 肝細胞癌 / 外科的切除断端組織 / メチル化 / QMSP |
Outline of Annual Research Achievements |
rapid QMSP施行のためには、①手術検体の回収 ②DNA抽出とbisulfite検体の短時間での回収 ③QMSPアッセイと3段階それぞれでの調整と準備が必要である。①については順次、回収を進めており、現在手術検体の使用に関する同意の得られた11手術例(結腸・直腸癌9例、肝癌2例)においてsurgical marginサンプルを癌部・非癌部とともに回収した。症例の蓄積には時間が必要であり、引き続き回収していく。②については当初予定したキット(Epigentek社、Zymo Research社)の他に、時間短縮が期待できるキットをいくつか検討している。現状はサンプル回収後からbisulfite検体の作成まで約60-70分かかるため、さらなる時間短縮の方法を模索している。③安定したQMSPアッセイ施行には、各メチル化マーカーについて臨床検体を用いた妥当性の評価が必要である。我々は7種類のメチル化マーカーパネルを構築しており、うち2つの遺伝子について臨床検体で検討している。具体的な手順として現状は、StepOnePlus(Life technologies)のrapid modeで50-60分の行程が必要である。しかし最近第3世代の定量RT-PCR機器の開発が進んでおり、大幅な時間短縮が見込める可能性があるため、引き続き注視していく予定である。 外科的切除検体からのsurgical marginの回収を行っているが、対象としているのが病理組織学的に断端陰性の症例であり、十分な症例集積にはまだ時間を要する。症例の予後や病理組織学的情報は随時回収しておりその集積・更新については支障ない。本研究の前向きな性質を維持するため、予後情報が出そろう前に順次rapid QMSPアッセイを施行していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では平成27年度に「A:メチル化遺伝子パネルの作成とrapid QMSP法の確立」と「B:QMSPアッセイの妥当性の確認」を行う予定としており、Aについては計7種類のメチル化マーカーパネルを作成し、現状トータルで110-130分のアッセイを確立できている。ただし次世代の定量RT-PCRが利用可能となれば大幅な時間短縮が見込めて、rapid QMSPを術中診断法として用いられることが現実味を帯びてくる。引き続きこの点に関しては注視していく。Bについては、新規2メチル化マーカーについて、臨床検体で妥当性を確認したことについて学会報告を行い、達成できていると考える。また「C:手術検体の回収とrapid QMSP法の施行」については現状11例のサンプル集積を達成している。手術室訪室からrapid QMSP施行までルーチンワーク化できており、細かい工夫をしてさらなる時間短縮を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では平成28年度には上記Cの継続と「D:臨床予後データの回収と関連性の検討」を予定している。Cについては引き続き症例数を増やしていく。Dについて、当然ながら症例の予後データについては時間の経過を待つ必要があるが、作業自体はシンプルであり、遂行可能と考えている。
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Causes of Carryover |
外科的切除検体からsurgical marginサンプルの回収を行うにあたり、条件に見合う症例の集積に時間を要し、またbisulfite検体の調整にも手間を要した。これに伴い、平行して行っていたmethylation marker候補の絞り込みが遅れ、アッセイ施行に必要なprimer、probe、rapid QMSP用の試薬購入分の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
7種類のメチル化マーカーのプライマー・プローブおよびreference geneのプライマー・プローブ(約50万円)rapid QMSPに使用する試薬およびpositive control(約50万円)に使用する。
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