2016 Fiscal Year Research-status Report
未固定遺体を用いて乳癌術後リンパ浮腫の原理及びセンチネルリンパ節の機能を解明する
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15K19856
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中川 美砂子 徳島大学, 病院, 診療支援医師 (20522270)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CTリンパ管造影 / リンパ浮腫 / センチネルリンパ節生検 |
Outline of Annual Research Achievements |
腋窩におけるリンパのネットワークを理解することにより、乳がん患者に対する正確な腋窩リンパ節生検並びにリンパ節郭清術が施行可能となると考えている。これまでのところ、腋窩リンパ節郭清術を行わずともリンパ節生検後に上腕リンパ浮腫を経験することがあり、乳がん腋窩リンパ節郭清術後リンパ浮腫のメカニズムを明らかにすることを目的としている。当施設に開設されたクリニカルアナトミー教育・研究センターにて、未固定遺体を用いて上肢のリンパ管に顕微鏡下にカニュレーションを行い、水溶性造影剤とジアグノグリーンの混合液を緩徐に注入、近赤外線カメラによる蛍光法とCT撮像装置によりリンパネットワークを観察する手技を確立した。凍結保存された未固定遺体でのリンパネットワークの研究には、リンパへのカニュレーションが必要であり、解凍時間の条件設定も必要不可欠であることが明らかとなった。今後、腋窩までのリンパネットワークの観察まで行い、腋窩リンパ節郭清の有無による比較検討を行うように準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
凍結保存された未固定遺体を用いた研究に必要な解凍条件を検討している。リンパ管へのカニュレーションのため拡大鏡を用いた手技を確立するまでに時間を要した。乳がん腋窩リンパ節郭清術が上腕リンパネットワークに及ぼす影響について研究するためには、腋窩までのリンパネットワークの描出が必要であるが、現在、未固定遺体において上腕リンパネットワークを広範囲に描出するまでに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの乳がん患者におけるCTリンパ管造影におけるリンパネットワークの観察結果(Breast Cancer. 23:519-524, 2016)をもとに、繰り返しCT撮像が可能である未固定遺体を用いて、リンパ管造影手技を上腕リンパネットワークを全長に渡って描出し、腋窩リンパ節郭清の有無によるリンパネットワークの変化について形態を明らかにする。 センチネルリンパ節の部位と生検個数とリンパ浮腫に関する臨床例における調査も行う。
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Causes of Carryover |
未固定遺体における腋窩までのリンパ管造影手技の確立に時間を要しており、リンパネットワーク観察に必要であるICG蛍光観察装置の使用について、購入ではなく期間限定の機器の貸し出しにて実験を遂行することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リンパ管造影手技の確立後に、リンパネットワーク観察に必要であるICG蛍光観察装置の期間限定の機器のレンタル、拡大鏡購入、研究施設利用料に使用予定である。
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