2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K19862
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
野田 諭 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20382103)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳癌 / 低酸素 / 造影超音波検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の報告から腫瘍内血管の不均一性やそれに起因する低酸素領域の存在は癌の悪性度や浸潤・転移能と関連するとされている。ソナゾイドは他の検査モダリティーの造影剤と違い血管外漏出がないことから純粋な腫瘍内血管を評価できることから造影超音波検査が乳癌の悪性度を推測する上で有用ではないかどうかを検証した。 2014年10月から2016年8月の間に造影超音波検査を施行された97例に関して、染影所見と臨床病理学的因子との関連性を解析した。 病理学的因子は、乳癌の悪性度を規定するサブタイプ分類に用いられるエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、HER2蛋白の発現、増殖指標であるKi67 labeling indexを免疫組織染色にて判定した。また病期分類に用いられるリンパ節転移の有無との関連も検討した。 造影超音波における内部の染影は全例不均一な染影であった。エストロゲンレセプター発現が陰性の症例において内部不染域を認める腫瘤が有意に多かった。またリンパ節転移を伴う症例は内部不染域のある腫瘤が多い傾向であった。他のHER2発現の有無、Ki67値の高低では染影所見に差は認めなかった。 血流の不均一性が強く、低酸素領域の存在が推測される内部不染域の所見は、エストロゲンレセプター陰性やリンパ節転移などの悪性度の高い乳癌や進行した乳癌と関連する可能性が示唆された。またエストロゲンレセプターは治療標的としての役割もあり、乳腺造影超音波検査で内部不染域を認める場合、内分泌療法が奏功しない可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
原発乳癌における乳腺造影超音波検査施行例は集積されてきており、乳癌の悪性度との関連も解析できているが、薬物療法前後で造影超音波検査を施行した症例の集積が遅れており、薬物療法に対する反応性と造影超音波検査所見との関連を解析できていない。薬物療法後の手術症例に対する造影超音波検査施行例が集積できていないため、組織学的検討が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
日常臨床における造影超音波検査の施行を積極的に行い、基礎的検討も含めさらに解析を進める必要がある。
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Causes of Carryover |
研究計画では解析に必要な検査症例が集積予定であり、それに基づいた検討が行われる予定であったが、実際にはまだ症例の集積が十分でなく、基礎的検討が進んでいない。そのため実験試薬などのための使用額が増えていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
集積した症例のデータを解析し、基礎的検討を行う予定であり、実験試薬の支出が増加する予定である
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Research Products
(4 results)