2015 Fiscal Year Research-status Report
Transcriptome解析により同定した胃癌腹膜播種再発責任分子の機能解析
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15K19879
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神田 光郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00644668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Transcriptome解析 / 胃癌 / 腹膜播種 / 個別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行胃癌の転移再発形式の中でも腹膜播種再発は高頻度かつ難治である。新規腹膜播種形成のdriver遺伝子を同定するため、次世代シーケンサーによるTranscriptome解析を用いて、胃癌再発形式別の網羅的群間遺伝子発現比較を行った。これにより同定した、膜貫通型蛋白であるsynaptotagmin 8(SYT8)の胃癌における機能と発現を検討し、個別化治療を可能とする腹膜再発予測マーカーおよび分子標的治療薬開発の基盤とすることが本研究の目的である。 平成27年度に予定していた研究はSYT8遺伝子の発現解析、in vitro機能解析およびマウス腹膜播種モデルの確立である。現在までの研究実績の概要を以下に記す。 ・SYT8発現とその関連分子の同定; SYT8の細胞株における発現量を定量的PCR法で調べた。MKN1、N87、KATOIIIにおいて、高度にSYT8発現亢進が見られた。84種類の癌関連主要分子の発現を網羅的に解析するPCR arrayによって、SYT8の発現度に相関性を有する分子を検索した結果、有意な正の相関性を有する分子(知財のため現時点では非公開)が検出された。 ・ノックダウン実験; SYT8高発現細胞株を対象としてsiRNA法によるSYT8のノックダウンを行い、それによる細胞株の増殖、遊走、浸潤能の変化を調べた。コントロール群と比較して、SYT8ノックダウン群は有意に胃癌細胞株の浸潤能と遊走能が抑制された。 ・マウス腹膜播種モデルの確立;ヌードマウスを用いて、安定した胃癌腹膜播種モデルの作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず研究計画に則り、SYT8遺伝子の胃癌細胞株における発現解析、機能解析に着手した。siRNA法によるSYT8のノックダウン実験では、SYT8高発現株に対して、ノックダウン前後での細胞株の増殖、遊走、浸潤能の変化を調べている。この結果、SYT8ノックダウンによる浸潤能と遊走能の有意な抑制を認めた。また、SYT8がどのような癌関連分子(EMTを含む)やsignaling pathwayと関連して胃癌悪性度に関与しているかを調べるため、PCR array法によって癌関連腫瘍分子の発現度を網羅的に解析しSYT8発現との相関性を解析したところ、SYT8発現と有意な正の相関関係を有する分子が見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、計画どおりにSYT8の薬剤感受性への影響評価、in vivo実験、臨床検体での発現解析を進めていく。胃癌細胞株における5-FU感受性をWST-1 assayによって調べ、SYT8の発現度との相関性を検討する。さらに、SYT8高発現胃癌細胞株に対してSYT8をノックダウンし、5-FU感受性の変化を調べるとともに、5-FU代謝酵素であるTS、DPD発現の変化をWestern blotting法で調べる。マウス腹膜播種モデルにおいて、腹膜播種巣形成能(腹囲、腫瘍総重量、腹水量)および生存期間について、SYT8 siRNAの腹腔内投与の効果を調べる。胃癌患者から収集した胃組織検体(癌部および非癌部)、腹水検体を対象に、定量的PCR法によって多検体におけるSYT8 mRNA発現度を調べる。胃組織については切除切片を用いてSYT8の免疫染色を行い、蛋白レベルでの発現解析も行う。SYT8発現度と、腹膜再発・予後、各種臨床病理学的因子との相関性を調べる
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Causes of Carryover |
細胞培養試薬、実験動物が当初の計画より安く購入できたため、次年度使用額を生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に本格的に行う動物実験費用に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)