2015 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用を見据えた大腸癌幹細胞の新規分離法の確立と治療抵抗性機構の解明
Project/Area Number |
15K19883
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北原 知洋 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50645083)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / CD107a / 抗癌剤耐性 / 未分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回我々が同定した新規のマーカー(CD107a)に関して臨床検体を用いた免疫染色にてその発現形式を調べた。正常な大腸上皮と比較し、癌細胞では強い染色が認められた。正常な大腸上皮では特徴的に陰窩の底部にCD107a陽性細胞が存在した。中分化腺癌の症例では細胞内の基底膜側が弱く染色された。一方中分化腺癌でも腺管の極性を失い一部未分化な成分を含んだ部分や癌の浸潤の先進部では細胞膜が強く染色された。術前化学療法を行った症例では細胞内が強く染色された。また同一の症例で化学療法を行う前に生検を行った検体と化学療法後に採取した検体を染色して比較してみたが、同様の結果が得られた。以上の結果よりこのマーカーの発現は癌の分化度と関連すること(未分化な症例でより強く発現すること)及び化学療法と関連すること(化学療法後は強発現すること)が示唆された。 次に今回同定したCD107aを高発現している大腸癌の細胞株(CaCO2)を用いてsiRNAによるCD107aのknockdownを行った。knockdown後にフローサイトメトリーにてknockdown効率を確認した。まず細胞増殖を検討するとCD107aをtargetとするsiRNAをトランスフェクションさせた群の方がコントロールsiRNA群と比較して、増殖が優位に抑制された。またそれぞれの群を大腸癌の治療におけるキードラッグであるoxaliplatinに暴露させchemosensitivity assayを行った。するとtarget siRNAの群では抗癌剤の感受性が優位に改善した。 以上の結果は、癌(幹細胞)の抗癌剤耐性に今回我々が同定したCD107aが深く関連している可能性を示唆しているものと思われる。
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