2015 Fiscal Year Research-status Report
化学療法後の肝類洞閉塞症候群の分子機構解明と抗VEGF抗体療法の有効性の解析
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15K19898
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒木 秀幸 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (50594876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大腸癌肝転移 / oxaliplatin / TSP-1 / bevacizumab |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌に対して用いられるFOLFOX療法、FOLFIRI療法は有効な化学療法であるが、oxaliplatinを含む化学療法はSOS(sinusoidal obstructive syndrome)を来すことが知られ、SOSは肝切除手術に伴う合併症を増加させることが報告されている。近年、抗VEGF抗体であるbevacizumabがSOSを軽減させることが報告されるが、その分子メカニズム関しては不明な点が多い。申請者らは肝切除による肝障害がROS(reactive oxygen species)を産生させ肝類洞内皮細胞からThrombospondin-1 (TSP-1)を誘導することにより、TGF-β-Smadシグナルを活性化することで肝再生を負に制御していることを明らかにした。本研究では、化学療法後のSOSにはTSP-1を介したTGF-β-Smadシグナルの活性化が関与しているという仮説に基づいて、SOSの分子機構を明らかにするとともに抗VEGF抗体のSOS予防効果を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
In vitroの実験においては、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖にTSP-1の関与が確認されたが、oxaliplatinをHUVECに投与してもTSP-1の発現は誘導されなかった。また、oxaliplatin単独またはoxaliplatin+bevacizumabによる化学療法後の大腸癌肝転移切除標本でTSP-1の免疫染色を行ったが、両群ともTSP-1の発現率に有意差を認めなかった。これまでの実験結果からはSOSの発症とTSP-1の発現は関係性が低い可能性がある。 研究計画書に提出したvivoの検証が終了しておらず、遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro及び大腸癌肝転移切除標本における実験結果から、本研究の仮説とは異なる実験結果がいくつか得られている。今後は仮説の変更を含めて実験計画を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の想定通りに研究が進まず、研究計画が遅れてしまい、予定していた実験を行うことが出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
In vitro及び大腸癌肝転移切除標本における実験結果から、本研究の仮説とは異なる実験結果がいくつか得られているため、次年度は仮説の変更を含めて実験計画を検討する。その際のIn vitro実験関連購入費、及び、研究補佐員の人件費に使用する。
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