2015 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子発現解析に基づいた膵島移植片前処置による長期生着効果の誘導
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15K19902
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 直哉 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90622332)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵島移植 / Mitomycin-C / 生着延長 / 免疫抑制 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵島移植において、移植前にDNA複製阻害作用を有するMitomycin-C(MMC)を処置することで得られる膵島グラフトの生着延長のメカニズムを解明することを目的とした。その手段として、マイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を用いて、移植前MMC処置による膵島遺伝子の生物学的機能変化を検討した。 当該年度においては、Mitomycin-C処置膵島の遺伝子発現をマイクロアレイを用いて網羅的に解析し、非処置膵島の遺伝子発現パターンと比較することで、生着延長に寄与する因子の抽出を行った。マイクロアレイにより得られた遺伝子発現データは、バイオインフォマティクス解析ソフト(IPA:Ingenuity Pathway Analysis)を用いて、統計学的に有意に発現変化した遺伝子群を抽出した。 その結果、MMC処置膵島ではcellular movementに関わる遺伝子群の発現抑制が顕著にみられ、さらにその中でサイトカインおよびペプチダーゼをコードする遺伝子群が複数で発現抑制されていることが明らかになり、重要な所見であると考えられた。なぜならば、膵島が分泌する免疫誘導因子は宿主の免疫応答を惹起することから、グラフト生着に関与するためである。移植前に宿主免疫応答の惹起を抑制しうる処置を付加することで膵島グラフトの免疫源性軽減され、移植成績が向上することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度に計画していたMitomycin-C処置膵島のマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を実施し得たこと。ならびに、そのアレイデータをもとにMMC処置による膵島グラフト生着延長の因子となりうる生物学的機能変化を抽出しえたこと。 以上から、計画された実験を行えたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の課題は、マイクロアレイデータの妥当性を検証するために、in vitroおよびin vivoでの実験を行うことである。バイオインフォマティクス解析の結果、移植前MMC処置は膵島における炎症誘導性因子の遺伝子発現を抑制することが示された。今後は、サイトカインおよびペプチダーゼの蛋白発現においてMMCの効果を検証し、さらにはMMC処置膵島グラフトに対する免疫応答をchemotactic assayおよび移植部位への浸潤細胞数で評価する。
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Causes of Carryover |
当該年度において国際学会への参加費、旅費、宿泊費を計上する予定であったが、所属機関より補助が可能であったため、予想より低い支出となったといえる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験計画並びに学会参加費用について、当初の予想をもとに計上する。
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