2015 Fiscal Year Research-status Report
癌幹細胞特異的に発現するクロライドイオン輸送体を標的とした食道癌新規治療法の開発
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15K19904
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石本 武史 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00724494)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / 癌幹細胞 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年は、まず、ヒト食道癌組織における癌幹細胞マーカー(ALDH1, CD44)発現レベルを解析し、各々の高発現が食道癌における予後不良因子となることを解明した。続いて食道扁平上皮癌細胞株(TE8)から、ALDH高発現細胞をsorting後、sphere形成能を有する細胞のみを分離し、癌幹細胞を培養することに成功した。また、抽出された癌幹細胞における抗癌剤耐性能、再分化能も確認した。さらに、作製した癌幹細胞と親株での遺伝子発現をmicroarrayを用いた網羅的解析により比較検討したところ、種々のイオン輸送体が癌幹細胞において高発現していることを確認した。その中から、TRPV2チャネルに着目し、その選択的阻害剤であるトラニラストが、癌幹細胞特異的に、増殖抑制効果を示すことを明らかにした。また、親株をトラニラストで処理したところ、ALDH発現が抑制されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のうち、ヒト食道癌組織における癌幹細胞マーカーの発現解析・ヒト食道癌細胞株を用いた癌幹細胞の作製・癌幹細胞特異的に発現するイオン輸送体の同定の基礎実験は、ほぼ終了している。また、新たに癌幹細胞におけるTRPV2チャネルの高発現に着目し、その選択的阻害剤であるトラニラストの癌幹細胞増殖抑制効果を確認している。トラニラストは抗アレルギー剤として広く臨床使用されており、新たにその癌幹細胞特異的抑制効果を示す意義は大きく、研究目的・研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、TRPV2チャネルを介する癌幹細胞の細胞増殖制御メカニズムの解明と、in vivo実験を推進する予定である。ヒト食道癌組織における癌幹細胞マーカー(ALDH1, CD44)発現とTRPV2チャネル発現の相関解析、術前化学療法症例の組織内ALDH1, CD44, TRPV2発現変化を解析する。また、TRPV2をノックダウン後、microarrayを用いた網羅的解析により、細胞増殖制御に関わるpathwayを明らかにする。同時に、in vivoモデルを用い、各種抗癌剤、トラニラスト(TRPV2チャネル阻害剤)の皮下腫瘍成長抑制効果を検討するとともに、皮下腫瘍内のALDH1, CD44, TRPV2発現変化を解析する。さらに、各種薬剤処理後の皮下腫瘍から細胞を抽出し、sphere形成能を有する細胞量を比較検討する予定である。
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Research Products
(8 results)