2015 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌におけるNectin Family制御による新規癌治療法の開発
Project/Area Number |
15K19908
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西和田 敏 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80745795)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Nectin family / 膵癌 / 治療標的分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は未だに極めて難治性の消化器癌の一つであり、近年の新規化学療法などの治療にても5年生存率は6%程度に留まっている.このため、大幅な予後改善を図るには新たな観点からの治療戦略の導入や新規治療標的分子の発見が必須である. Nectin familyは細胞間接着分子として同定され,近年,分子生物学的観点において様々な重要な役割が報告されている.さらに,各分子は決まった他のNectinやリガンドと結合し,種々の相互作用を有するとされている.今回,我々は膵癌細胞におけるNectin family発現に注目し,Nectin-4, Necl-5各発現が膵癌患者予後や腫瘍血管新生と関連し,その制御により腫瘍増殖が抑制されることを報告した.さらにNectin family各分子の腫瘍発現を調査し,その相互作用や関連性について統合的解析を行った.その結果,Nectin-1, 2の腫瘍発現は限定的であったが,Nectin-3, 4, Necl-5は高頻度に過剰発現がみられ,これらの発現には正の相関がみられた.多変量解析ではNectin-3低発現,Nectin-4高発現,Necl-5高発現は,各々独立予後不良因子として有意であった.Ki67抗体を用いた免疫染色では,Nectin-4およびNecl-5高発現群において有意にKi67陽性細胞の割合が高く,腫瘍増殖に寄与している可能性が示唆された.さらに膵癌における直接的作用を検討するため,Capan-2,BxPc-3細胞を用いてsiRNA法による検証を行った.その結果,Nectin-4およびNecl-5制御により増殖能が阻害された.Nectin-3単独制御による増殖能亢進作用はみられなかったが,Nectin-4およびNecl-5とdouble knockdownを行うと,これらの制御による増殖能阻害が回復することが判明した.今回初めて,膵癌におけるNectin familyの臨床的意義が明らかとなった. Nectin各分子は独立して機能しており,また共発現によってより高い悪性度獲得と関連しているものと思われた.今後,Nectinを標的とした新たな治療戦略の可能性が示唆された.
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[Journal Article] Nectin-4 expression contributes to tumor proliferation, angiogenesis and patient prognosis in human pancreatic cancer.2015
Author(s)
Satoshi Nishiwada, Masayuki Sho, Satoshi Yasuda, Keiji Shimada, Ichiro Yamato, Takahiro Akahori, Shoichi Kinoshita, Minako Nagai, Noboru Konishi, Yoshiyuki Nakajima
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Journal Title
Journal of Experimental & Clinical Cancer Research
Volume: 34
Pages: 30
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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