2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K19909
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
渡邉 幸博 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (70747584)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵液瘻 / 生体親和性接着剤 / 生体糊 / 生体吸収性材料 / 大動物 / 膵臓外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹部外科手術に伴う膵液瘻は、外科学が進歩した現在でもなお難治性であり一度発症すると重篤な合併症を引き起こす。膵瘻の予防策として様々なものが報告されているが、それらの効果は十分とはいえない。膵液瘻を予防するには、損傷した微小膵管からの膵液漏出をシーリングし、この部分を正常に治癒させることが必要である。本研究は大動物を用いて、我々が開発している生体親和性接着剤(Biocompatible Bond; BCB)と生体吸収性素材を用いた膵損傷部における膵瘻予防効果を、従来法であるフィブリン糊(FG)を用いた方法と比較検討することにある。BCBが今までにない膵瘻予防効果を認め、生体内で安全に使用可能であることが証明されれば、膵臓外科における多大な躍進となる可能性がある。 初年度は、BCBの物理的強度について、摘出腸管を用いて計測し、従来医療用に用いられているFGと比較した。結果としてはBCBの物理的シーリング力はFGより5-6倍強いことが確認でき、次年度からは物理的膵瘻部へのBCB塗布実験を開始した。膵瘻予防効果に関しては短期的には良好な効果が確認できており、日本膵臓学会にて学会発表を行った。今年度はさらに実験動物を増やして膵消化管吻合部へのBCB塗布実験を進め、術後8週以上の長期経過観察や、シーリング部の組織学的評価を進めてBCBの臨床適応の可能性について検討する。内容については日本外科系連合学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物理的シーリング力が強化できることが確認できており、膵瘻部の塗布実験も予定通り行うことができている。膵瘻のシーリングについても短期的に良好であることが確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
各群の実験個体数を増やし、術後8週以上の長期経過観察や、シーリング部の組織学的評価を追加で行っていく予定である。学会発表についても行う予定としている。
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Causes of Carryover |
実験は概ね順調に進展に進展している。海外での学会発表がなかったため、次年度使用額が生じたと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験頭数を増加して追加の実験を行い、長期経過観察とその組織的検査を加えて学会、論文発表を行う予定としている。
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