2015 Fiscal Year Research-status Report
多発性肝臓がんの全ゲノム解析による肝臓がん進化の分子機構の解明
Project/Area Number |
15K19915
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古田 繭子 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (00647183)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肝臓がん / 多発性 / 多中心性腫瘍 / 転移性腫瘍 / ゲノム変異 / 全ゲノムシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
肝癌には、同時性または異時性に複数の腫瘍が形成される症例があり、それらは転移性腫瘍と各腫瘍の由来が異なる多中心性腫瘍に分類される。転移性腫瘍と多中心性腫瘍は病理学的診断により腫瘍の分化度や病理型、血管・脈管侵襲の有無と腫瘍形成までの経過時間等により判別されるが、正確な判別は現状では困難である。しかし両者はその由来の違いから、発見された時のステージや特性が異なり、特性に従った治療方針がその後の治療効果を左右する場合があり、転移性と多中心性腫瘍の正確な判別は重要である。 そこで本研究では23症例に由来する合計49の多発性腫瘍について全ゲノムシークエンスを行い、体細胞性の点突然変異とゲノム構造異常等の網羅的ゲノム変異の検出を行い、ゲノム変異情報を用いた判別を試みた。さらにRNA-SeqとSNP-Chip解析を追加し、統合的に解析を行った。その結果、共通点突然変異有無の割合により転移性腫瘍を高精度に抽出することが出来た。点突然変異は癌ゲノムにおいて最も頻発しているイベントであることから、この情報を利用することが既存の方法よりも高精度であることが示唆された。臨床診断とは異なり、転移性腫瘍と判定された1症例では、薬剤完全寛解後の再発がみられたが、薬剤投与前後の腫瘍の変異プロファイルが大きく変化している症例がありことなる表現型を示すことが予想された。これらは転移性腫瘍においてもゲノム変異の共通性を確認し、癌の進化の過程を予測することの重要性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大部分の解析が予定通りに進行し、現在までに完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果をまとめ、学術誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に学術誌への投稿に関わわるや学会等の参加費の資金捻出が必要であったため、今年度では出費を最低限にとどめることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に学術誌への投稿に要する費用と追加実験、研究成果発表の為に使用予定である。
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