2016 Fiscal Year Annual Research Report
Involvement of methylarginine derivatives in endothelial dysfunction of coronary artery bypass grafts in patients with chronic kidney disease
Project/Area Number |
15K19918
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
木下 武 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90437161)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 血管内皮機能 / 内胸動脈グラフト / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度を含め研究期間全体に以下の実験を行った。①血中ADMA濃度に関連する患者の背景因子:患者の入院時採血にて血中ADMA濃度を測定したところ推定糸球体濾過率とADMA濃度に負の相関関係があることが明らかになった。そのほかの患者背景(年齢、性別、併存疾患など)とADMA濃度の関連は有意でなかった。②内胸動脈グラフトにおける内皮由来平滑筋弛緩因子産生能と血中ADMA濃度の関連性:術中に余剰となった内胸動脈を対象にしたマグヌス装置による張力実験で糸球体濾過率と内皮由来一酸化窒素の産生能に正の相関があることを明らかにした。一方ADMA濃度と内皮依存性弛緩反応の有意な関連性は明らかでなかった。③内胸動脈グラフトのDDAH-2および一酸化窒素合成蛋白の発現量と慢性腎臓病ないし血中ADMA濃度の関連:張力測定に使用したグラフト血管をパラフィン包埋ブロックとして保管し、45症例を用いて組織マイクロアレイを作成した。薄切した後にDDAH-2とNOSに対する免疫組織染色を行い、染色後のスライドをデジタルデータとして画像解析ソフトに取り込んだ後、DDAH-2とNOSの発現量をスコア化し評価したが、それぞれの発現量とADMA濃度の関連性は明らかなでなかった。④内胸動脈グラフトにおける内膜肥厚と血中ADMA濃度の関連:グラフト血管の横断面をヘマトキシリン・エオジン染色とエラスチカ・ワンギーソン染色し、内膜肥厚の程度(intima-to-media ratioおよびpercentage of luminal narrowing)を評価したが、有意な関連は見いだせなかった。以上、結果として血中ADMA濃度、DDAH-2、内胸動脈グラフトの内皮障害、内膜肥厚の関連性は見いだせず臨床的に意義のある所見は得られなかった。今後も慢性腎臓病患者の内胸動脈グラフトの内皮障害の原因検索を継続していく必要がある。
|