2015 Fiscal Year Research-status Report
脊髄虚血再灌流障害を軽減させる細胞外microRNAの探索
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15K19921
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上野 耕司 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30736070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | microRNA / エクソソーム / 虚血プレコンディショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血プレコンディショニングの方法としては、C57BL/6マウスの腹部大動脈に対して、クリップにより5分間の虚血と再灌流の1サイクルを、合計3サイクル実施した。虚血プレコンディショニングと開腹のみ(sham)をして24時間後のマウスから採血して血漿を作製し、血漿中のエクソソームを回収後に、エクソソームに含まれるmicroRNAが抽出された。そのmicroRNAsはmicroRNA microarray解析に用いられ、虚血プレコンディショニングによりshamと比較して、発現レベルの変化が大きかったmicroRNAを同定した。虚血プレコンディショニングして1、2、3日後の血漿中のVEGF濃度をELISAで測定すると、虚血プレコンディショニングして1日後の血漿中のVEGF濃度はshamと比較して有意に高かったが、虚血プレコンディショニングして2日後と3日後の血漿中のVEGF濃度はshamと同程度であった。虚血プレコンディショニングして1日後のマウスの大腿骨から単離された骨髄細胞が、MACSによる抗CD34抗体を用いた技術により、CD34陽性細胞とCD34陰性細胞に分け、CD34陽性骨髄細胞とCD34陰性骨髄細胞からそれぞれ、microRNAを抽出した。microRNA microarray解析から虚血プレコンディショニングによりshamよりも発現レベルが下がった8つのmicroRNAに対するプライマーを用いて、虚血プレコンディショニング後のCD34陽性骨髄細胞とCD34陰性骨髄細胞でのmicroRNAの発現レベルの違いをqPCRにより比較した。虚血プレコンディショニングによりshamと比較してエクソソーム内で発現が低下した8つのmicroRNAは全て、shamのCD34陽性骨髄細胞よりも、虚血プレコンディショニング後のCD34陽性骨髄細胞において、発現レベルが低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソームに含まれるmicroRNAの発現レベルをmicroRNA microarrayにより網羅的に解析したことにより、虚血プレコンディショニングによる血液中のエクソソーム内で変化するmicroRNAを同定することが出来た。また、そのmicroRNAの中には、データベースを用いたバイオインフォマティクス解析から、VEGF mRNAの3’ UTRに結合する可能性があるmicroRNAが3つあることが予想された。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血プレコンディショニングにより血液中のVEGF濃度が上がったメカニズム解明の一環として、虚血プレコンディショニングにより発現レベルが下がった8つのmicroRNAのなかで、VEGF mRNAの3’ UTRに結合するものがあるか否か解析していく予定である。microRNA inhibitorをCD34陽性骨髄細胞に導入し、CD34陽性骨髄細胞が分泌するVEGF濃度を測定する予定である。
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Causes of Carryover |
qPCRには当初、予定したメーカーの試薬とプライマーよりも安いメーカーの試薬とプライマーを用いた為に、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たなmicroRNA microarray解析と学会発表の旅費に使用予定である。
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Research Products
(1 results)