2016 Fiscal Year Research-status Report
大動脈二尖弁における、上行大動脈拡大に係る分子生物学的メカニズムの解明
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15K19929
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
平田 雄一郎 久留米大学, 医学部, 助教 (50750171)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大動脈二尖弁 / 上行大動脈 / 動脈瘤 / トランスクリプトーム解析 / RTK系 / Akt |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈二尖弁症例では、上行大動脈が拡大しやすく、大動脈弁手術を行った後にも拡大傾向を認めることから、組織学的な異常が存在する可能性が示唆されており、大動脈二尖弁症例においては、拡大が軽度であっても予防的に上行大動脈置換術を行うことが推奨されている。しかし、そのメカニズムについては詳細は解明されていない。 大動脈二尖弁症例と通常大動脈弁症例における上行大動脈壁を採取し、壁構造の違いを比較した。まずトランスクリプトーム解析を行い、大動脈二尖弁症例において、RTK(recptor tyrosine kinese)系が変動していることを認めた。そこでRTK系の中心タンパク質である、Aktの活性化を調べることとした。各々の上行大動脈壁のp-Aktを染色し、その発現の部位、活性化度の相違を調べた。その結果、大動脈二尖弁の中膜において、通常三尖弁のそれと比較し、有意にp-Akt発現が多くみられた。また、大動脈中膜を3等分し、各々の層におけるp-Aktの発現部位を比較するに、中膜外層において、他層と比較しより多く発現している傾向となった。 大動脈二尖弁症例の上行大動脈壁の中膜では、通常大動脈弁症例と比較し、Aktの活性化、RTK系の活性化が起きている可能性が考えられた。RTK系の活性化が原因であれば、これを抑制する薬剤の投与により、上行大動脈拡大の抑制、上行大動脈置換術の回避が可能となる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
緊急手術や病棟業務の多忙により、研究進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在論文執筆中である。
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Causes of Carryover |
トランスクリプトーム解析を行う症例数が、当初予定より少数となったため。 進行状況の遅延により、当初予定していた学会発表の回数が少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
精度向上のためトランスクリプトーム解析の症例数を増やす。ウエスタンブロッティングを行い、確度の向上を図る。
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