2015 Fiscal Year Research-status Report
脳血管攣縮の成因における動脈壁内酸化LDLの役割とその起源
Project/Area Number |
15K19947
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
松田 尚也 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30587663)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / 酸化LDL / LOX-1 / プロシアニジン |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管攣縮は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(SAH)の予後に影響を与える最大の因子の一つである。その成因としてoxyHbとそれに起因するフリーラジカの関与が古くから指摘されてきた。それに基づいてフリーラジカル・スカベンジャーの有効性が検討されたが有効性は確立されていない。これまで開発されたフリーラジカル・スカベンジャーが有効性を示せなかった原因として、酸化ストレスの発生経路が、従来のoxyHbに続く細胞内情報伝達系以外の因子が関与している可能性を考慮した。 今回まず確認実験にて、酸化LDLとそのレセプターのLOX-1が酸化ストレスの発生源として脳血管攣縮に関与していることを示した。すなわち、ウサギくも膜下出血モデルにおいて、攣縮血管壁には酸化LDLとLOX-1が蛋白レベルおよびmRNAレベルで有意に発現すること、さらにこれらを抑制するprocyanidineの投与により、これらの発現が抑制されるとともに脳血管攣縮が軽快することが確認された。 この実験結果から以下の様に考察した。血管壁に存在ないしは進入したLDLがくも膜下血腫由来のフリーラジカルにより酸化LDLとなる。酸化LDLは平滑筋細胞膜および内皮細胞膜に存在するLOX-1を誘導しこれと結合することにより活性酸素(ROS)を産生する。ROSは平滑筋の持続的収縮や内皮細胞障害をもたらし病態を進行させる。Procyanidinは酸化LDLの産生とLOX-1への結合を阻害し、さらにROSを不活化させることによりこの病態を抑制する。 LDLの起源に関し、まずはウサギくも膜下出血、control群の作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ウサギくも膜下出血モデル作成に、当初の想定よりも時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きウサギくも膜下出血モデルの作成、及び蛍光標識LDL投与方の検討を行い進める。研究内容の変更は現段階では予定していない。
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Causes of Carryover |
動物モデル作成に想定以上に時間を要しており、予定作成数に達していない現状である。そのため、動物購入費、各種試薬等購入費に余りが生じているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き研究を進めることで、動物購入費や備品、消耗品代として使用する予定である。
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