2015 Fiscal Year Research-status Report
不活化ウイルス粒子による脳腫瘍幹細胞を標的とした新規核酸医薬療法の開発
Project/Area Number |
15K19948
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 真秀 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30614333)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳腫瘍幹細胞 / microRNA / 不活化ウイルス粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床検体から樹立した脳腫瘍幹細胞株を用いた細胞実験を行った。まずこの腫瘍幹細胞に対するHVJ-Eの膜融合能および核酸分子導入効率の評価を行った。臨床検体由来腫瘍幹細胞に対して、蛍光標識したHVJ-Eは高率に膜融合を生じ、また蛍光標識核酸分子の細胞内導入も高率に認められた。この結果から、HVJ-Eの腫瘍幹細胞への治療核酸分子導入能が確認され、この腫瘍幹細胞株を用いて本実験を行うこととした。複数の悪性神経膠腫細胞株と腫瘍幹細胞においてtotal RNAを回収し、両者でmicro RNA発現の差異を検討した。腫瘍幹細胞の増殖能、血管新生能、自己複製能等に機能することが予測される複数の候補microRNAを中心に解析を行ったところ、自己複製能等の幹細胞性維持に関与するポリコーム蛋白発現に抑制的に機能するmiR-218の発現において両細胞間に著明な差異が存在することを見出した。複数の悪性神経膠腫細胞株では候補microRNAのなかでmiR-218の発現が著明に亢進しており、一方腫瘍幹細胞ではmir-218発現は他のmicroRNA同等に抑えられている。このことは腫瘍幹細胞においては、mir-218発現抑制を通じてその標的分子である幹細胞性維持能を有するBMI1の発現を高めている可能性がある。現在HVJ-Eを用いてmir-218を腫瘍幹細胞へ導入することによる治療効果検討に先立って、microRNA至適投与量の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腫瘍幹細胞と非幹細胞腫瘍細胞で発現に差異のみられる分子同定のための解析を繰り返し重点的に行う必要があり、再現性の得られる結果が得られるまでに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
治療核酸分子候補が選定されたため、至適封入量確定に続いて幹細胞性変化を含めた治療効果解析をすすめていく。
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