2015 Fiscal Year Research-status Report
Transit Timeを補正したASL画像における定量的脳血流評価に関する検討
Project/Area Number |
15K19959
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
磯崎 誠 福井大学, 医学部, 特別研究員 (60464054)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ASL / 脳血流量 / 脳血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は3T(テスラ)核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging: MRI)を用いて行う、Arterial spin labeling(ASL)法による定量的脳血流量評価の虚血性脳血管障害における有用性を動物モデル、臨床の両面において、15O gas & waterをトレーサーとしたポジトロンCT(PET)と比較することで検証し、本疾患における画像診断技術の発展に貢献することである。現在脳血流量(CBF)の定量的評価は放射性物質を用いた検査がゴールドスタンダードであるが、このASL法によるMRI検査で得られた定量的CBF評価の有用性が証明されれば、将来的には放射性物質を使用せずに脳血流評価が行える可能性がある。 今年度は10例の臨床症例数を予定していたが、予定を上回るペースでデータ集積することができた。約16例の臨床データを集積することができた。全例にSPECT検査、ASL法によるMRI検査を施行して定量的脳血流量評価を行った。またこの中で8例にはPET検査も施行することができた。予定を上回るペースでデータ集積できているため、本来は次年度以降に予定されていたデータ解析も一部開始した。CBFを含む各パラメータに対してASL法で得られたCBF定量値との相関解析を行い、その正確性の検討を開始している。信頼性の高い相関解析を行うには十分な症例数ではないので、まだ確定的なことは述べることはできないが、現在のところ良好な相関解析を認めている。また次年度以降に予定されている動物実験に向けてその環境整備を整えている。具体的にはラットの血管操作用のマイクロハサミの購入や麻酔環境の整備である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた臨床症例数10例を上回る16例の臨床データを集積することができ、次年度以降に予定されていたデータ解析も一部開始した。しかし、PETデータに関しては8例の集積であり、全体の進捗状況としてはおおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様のプロトコールでさらに臨床症例10例を行い、次年度からはラットを用いた基礎データの収集も行う。ラットは次年度5例を予定している。ラットを用いた基礎研究の目的は神経細胞障害の程度とASLデータの関係を検討するためである。ASL画像は脳血流障害の程度によって、得られる画像が過大評価または過小評価されるといった傾向があるため、実際の細胞障害の程度がASL画像データに与える影響について検討する。本研究はおおむね順調に進行しており、現時点で今後の研究方法に大きな変更点はない。当初の研究計画通りに遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は予定以上にPETのトレーサーの在庫があり、物品費の支出が少なかった。また、臨床データ集積に重点を置いたため予定していた学会参加は行わなかった。そのため旅費の使用もなく、次年度使用額が発生したと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床データは当初の予定計画以上に集まっているため、次年度以降は予定額よりもトレーサー購入費(物品費)の増加が考えられる。次年度使用額の一部はこの物品費に当てたいと考える。またデータ解析も予定より早いペースで行えているため、次年度は当初の予定より学会発表を増やしていち早く有用な解析結果を公表していきたい。次年度使用額の一部はこの旅費の方にも当てたいと考えている。
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