2016 Fiscal Year Research-status Report
もやもや病におけるエピジェネティクス解析-発症メカニズム解明にむけて-
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15K19961
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒木 芳生 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80467290)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | microarray / epigenetics / moyamoya disease / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に引き続いて、もやもや病(MMD)患者の浅側頭動脈・中大脳動脈の微小検体からRNAを抽出し、マイクロアレイを実施することを目標とした。さらにGene Set Enrichment Analysis (GSEA)やThe Database for Annotation, Visualization and Integrated Discovery (DAVID)などの公開されている解析プログラムを使用して、MMDにおける異常発現と遺伝子異常の関連を明らかにする予定であった。浅側頭動脈の検体サイズは10mm程度あるため、十分なRNA量を採取しRINも十分であった。一方、中大脳動脈の検体は1mm未満であることが多く、RNA抽出はやはり不十分であり、RINも解析に堪えうる値は得ることができなかった。一方、今回の研究計画としては上げていなかったが、当グループでは脳脊髄液からのタンパク抽出・10kDa以下の網羅的解析(プロテオミクス)には精通しており、RNA抽出も可能と考えている。血液検体でのMMD患者におけるmiRNA発現プロファイルについてはこれまでわずかな報告はあるが、脳脊髄液でのmiRNA解析は報告がないため、今年度はそちらについても行っていく予定である。血液検体の白血球からのRNA抽出に関しては、やはりプロテアーゼ等の使用量が定まっておらず、方法が確立できていないため、さらに予備実験を繰り返す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
MMDに対する脳血行再建術は定期的に施行しており、浅側頭動脈・中大脳動脈・血液・脳脊髄液のサンプル数としては十分である。ただし、RNA抽出段階において充分量を確保することが方法論として確立していないのが問題である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳脊髄液におけるmiRNA解析については研究計画書では記載していなかったものの、微小な中大脳動脈からのRNA抽出よりも結果が得られる可能性が高いと考えている。一方、one cellからのRNA抽出も可能との報告もあり、当科の他の研究グループにも相談して解決策を模索する。
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Causes of Carryover |
今年度中も、中大脳動脈微小検体からのRNA抽出に関する予備実験を繰り返したが、次のステップに進むための充分量を得ることができなかった。本来、今年度はエピジェネティック異常を発見するための、メチル化解析、miRNA解析、ncRNA解析を行い、助成金を使用する予定であったが、それが未施行に終わったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、中大脳動脈微小検体からのRNA抽出を可能とする方法を確立するとともに、脳脊髄液検体におけるmiRNA発現解析も同時に行う予定であり、そのために助成金を使用予定である。
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