2015 Fiscal Year Research-status Report
二次性膠芽腫における遺伝子異常およびクローン進化の解析
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15K19964
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 啓道 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定研究員 (90751024)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グリオーマ / クローン進化 / IDH |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの我々の研究から低悪性度神経膠腫は遺伝子異常により明確な3タイプに分類され、それぞれ異なった分子生物学的特徴や臨床経過を示すことが明らかになった。段階的に悪性化する本疾患において悪性化のメカニズムは十分に解明されておらず、本研究においては次世代シークエンス技術を用いて高悪性度化のメカニズムを解明する。 これまで多数例の本疾患患者における遺伝子異常解析を行ってきた。700例を超える遺伝子異常解析結果に予後データを加え解析することにより、複数の遺伝子異常が予後不良に関与していることを同定した。これらの遺伝子異常が腫瘍の進展においてどのような働きを示しているか解明するため、同一患者からの複数回の検体採取を行い遺伝子変異解析を行った。進化系統学的手法を用いて解析を行うと、これらの遺伝子異常はいずれもより悪性化した腫瘍に生じていることが明らかになった。これは腫瘍は腫瘍内多様性を有し、異なった性質を持った複数の腫瘍細胞群から構成されているが、そのうちのひとつがこのような遺伝子異常を獲得することにより、生存に有利な機能を獲得し治療抵抗性となっていることを示唆する。このような遺伝子異常は初発時の段階でごく一部の腫瘍に生じている症例が存在し、このような患者の予後は極めて悪い。 本研究により同定された遺伝子異常を用いてリスク分類することにより、より正確な予後評価が可能となる可能性があり、臨床応用にむけてさらに研究をすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同一患者からの複数サンプリングの結果から腫瘍の進展形式を明らかにした。進展に関与しているとされる遺伝子異常が同定されたがこれらが、多数例の解析において予後不良に関与しているという結果も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては悪性化に関与する遺伝子異常が同定されている。これらの機能的な役割を解明するため、DNAメチル化や遺伝子発現パターンを解析し腫瘍細胞内にどのような変化を起こしているかその機能的意義を解明する。 臨床応用するため、進展に関与する遺伝子異常を含め遺伝子異常と臨床情報を統合した疾患分類の構築を目指す。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Mutational landscape and clonal architecture in grade II and III gliomas.2015
Author(s)
Suzuki H,Aoki K,Chiba K,Sato Y,Shiozawa Y,Shiraishi Y,Shimamura T,Niida A,Motomura K,Ohka F,Yamamoto T,Tanahashi K,Ranjit M,Wakabayashi T,Yoshizato T,Kataoka K,Yoshida K,Nagata Y,Sato-Otsubo A,Tanaka H,Sanada M,Kondo Y,Nakamura H,Mizoguchi M,Abe T,Muragaki Y,Watanabe R,Ito I,Miyano S,Natsume A,Ogawa S.
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Journal Title
Nat Genet
Volume: 47
Pages: 458-468
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 低悪性度神経膠腫における遺伝子変異の全体図とクローン進化の解明2015
Author(s)
鈴木啓道, 青木恒介, 千葉健一, 白石友一, 本村和也, 大岡史治, 中村英夫, 溝口昌弘, 阿部竜也, 村垣善浩, 伊藤以知郎, 渡邊麗子, 眞田昌, 若林俊彦, 小川誠司, 夏目敦至
Organizer
第74回 日本脳神経外科学会学術総会
Place of Presentation
札幌
Year and Date
2015-10-14 – 2015-10-14
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[Presentation] The landscape and clonal architecture in lower grade glioma2015
Author(s)
Hiromichi Suzuki, Kosuke Aoki, Kenichi Chiba, Yusuke Sato, Yusuke Shiozawa, Yuichi Shiraishi, Teppei Shimamura, Atsushi Niida, Kazuya Motomura, Fumiharu Ohka, Hideo Nakamura, Masahiro Mizoguchi, Tatsuya Abe, Yoshihiro Muragaki, Reiko Watanabe, Ichiro Ito, Toshihiko Wakabayashi, Seishi Ogawa and Atsushi Natsume
Organizer
2015ASCO Annual Meeting
Place of Presentation
シカゴ
Year and Date
2015-06-02 – 2015-06-02
Int'l Joint Research
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[Presentation] The landscape and clonal architecture in lower grade glioma2015
Author(s)
Hiromichi Suzuki, Kosuke Aoki, Kenichi Chiba, Yusuke Sato, Yusuke Shiozawa, Yuichi Shiraishi, Atsushi Niida, Teppei Shimamura, Masashi Sanada, Satoru Miyano, Toshihiko Wakabayashi, Atsushi Natsume, Seishi Ogawa
Organizer
AACR Annual Meeting 2015
Place of Presentation
フィラデルフィア
Year and Date
2015-04-21 – 2015-04-21
Int'l Joint Research
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