2016 Fiscal Year Research-status Report
脳虚血時のP2X4受容体を介した血管内皮による虚血耐性獲得メカニズムの解析
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15K19965
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 友彦 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (00723123)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | P2X4受容体 / 脳虚血耐性 / オステオポンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は脳梗塞に対するP2X4受容体を介する虚血耐性獲得のメカニズムの研究を昨年度から引き続き行い、その成果を論文、学会で発表した。今年度の補助金はマウス、試薬、研究に必要な書籍の購入費、論文投稿、学会発表費用に当てられた。 The P2X4 receptor is required for neuroprotection via ischemic preconditioning という論文をScientific Reportsに報告した。また論文内容をInternational Stroke Conference 2017で口演した。 また脳主幹動脈が閉塞した際に脳梗塞重症度に関わる要因のひとつに、脳軟膜動脈吻合を介した側副血行路の発達が関与している。脳側副血行路が発達していれば他血管からの血流が虚血巣に流入し梗塞に陥るのを防ぐ。脳側副血行路の発達にはシェアストレスが関与していることが報告されており血管内皮が側副血行路の発達に強く関わっていると考えられる。 我々の研究テーマの中心としている分子である血管内皮に存在するP2X4受容体はシェアストレスを感知する分子であることに着目した。マウスの一過性総頸動脈閉塞により脳側副血行路の発達が生じることが報告されており我々もこのモデルを使用し、まずは総頸動脈を閉塞させ2週間後に脳側副血行路が発達していることを確認することができた。今後はこの実験を発展させ一側総頸動脈閉塞による脳側副血行路の発達による梗塞体積の減少が生じるかを確認、またP2X4受容体の阻害剤投与により脳側副血行路の発達が減少し一側総頸動脈閉塞による脳側副血行路の発達による梗塞体積の減少がP2X4受容体阻害により再増大するかどうかを実験する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中大脳動脈閉塞モデルや脳室内投与の実験をすでに習得していたため動物実験が順調にすすんだことやP2X4受容体とオステオポンチンの関連性に関して、コンディショナルノックアウトマウスを作成することを選択し順調に作成が出来たため昨年度の研究が順調に進み今年度は論文作成や学会発表に十分な時間を費やすことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本犬級で得られたサンプルをプロテオミクス装置を使用し他の分子の変動なども解析すること、得られた組織やサンプルを免疫染色やPCR解析を行い他分子発現の精査に発展させることを計画し、国内、国外での追加の学会発表も計画している。 また本年度開始したマウスの脳側副血行路の発達に関する実験をさらに進めていく予定である。具体的には、すでに我々は総頸動脈を閉塞させ2週間後に脳側副血行路が発達していることを確認することができた。また脳側副血行路の発達により中大脳動脈閉塞を施した際に脳梗塞体積の減少が生じるかを調べる。具体的には一側総頸動脈を閉塞しその2週間後に中大脳動脈を閉塞させ脳梗塞体積を調べる。 さらにP2X4受容体の阻害剤投与により脳側副血行路の発達が阻害されるのかどうかを調べる。具体的にはまずマウスに一側総頸動脈閉塞を施し、その後すぐにポンプを用いて経脳室的にP2X4受容体である5BDBDを持続投与を開始し2週間後の脳側副血行路の発達が阻害されるかどうかをしらべる。また2週間後に中大脳動脈閉塞をほどこし一側総頸動脈閉塞による脳側副血行路の発達による梗塞体積の現象がP2X4受容体阻害により再増大するかどうかを実験する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度、28年度の補助事業申請時に計画した実験は順調に遂行することができた。この実験をさらに発展させるためにサンプルをプロテオミクス装置を使用し他の分子の変動も調べることを計画したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプルをプロテオミクス装置を使用し他の分子の変動なども解析すること、得られた組織やサンプルを免疫染色やPCR解析を行い他分子発現の精査に発展させることを計画し、国内、国外での追加の学会発表も計画している。
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