2015 Fiscal Year Research-status Report
テロメア維持機序に基づく髄膜腫再発予測と治療法の開発
Project/Area Number |
15K19968
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永野 大輔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70726520)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 髄膜腫 / テロメア / テロメラーゼ / 増大速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
髄膜腫におけるテロメア延長機序と増大との関係を明らかにすべく、髄膜腫の増大速度とテロメア関連遺伝子の解析を行った。まず、近年様々ながんにおいて、テロメラーゼの活性化機序となっていることが示されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のプロモーター領域の変異を調べた。増大傾向が強い者、悪性髄膜腫を中心に37例の臨床検体で、サンガーシークエンス法を用い解析をしたが、TERTプロモーター変異は認められなかった。TERTプロモーター変異は限定的ではあるが報告されているが、頻度が実際には少ないことが示唆される所見だった。さらに、テロメア延長機序が髄膜腫にあるかを、髄膜腫の増大の観点から間接的に検討すべく、髄膜腫の増大速度に関してフォローをおこなった無症候性髄膜腫141病変を対象とし、MRI画像を用いた経時的体積計測を行った。特に体積増大速度が鈍化したものに対してはゴンペルツ曲線に近似を行った。17症例(18病変)について体積増大速度の鈍化傾向を認め、ゴンペルツ曲線に近似し得た。そのうち6症例(6病変)で初回腫瘍体積が4cm^3以上かつ初年度年間増大率10%以上であり、そのうち4病変は初回腫瘍体積が8cm^3以上であった。また、観察期間中において殆ど体積変化を認めなかった症例を11症例(11病変)認めた。これらから、経過の中で成長をしなくなる髄膜腫が相当数あり、こういった腫瘍を中心にテロメアの維持が困難となっていることが仮説として考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テロメア延長機序に関し、TERTプロモーター変異の検索については実施、また臨床情報と比較するための増大速度の情報の収集が進んでいる。しかし、テロメア長・テロメラーゼ活性の評価についてはアッセイの遂行が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、腫瘍検体におけるテロメア維持機序の解析を優先的に行い、臨床情報とも比較し、本研究のconceptのproofを進める。これが行われた時点で速やかにテロメラーゼ阻害薬などによる治療モデルを作っていく。
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Causes of Carryover |
テロメラーゼ活性測定およびテロメア長の測定において実施が遅れており、これに対する試薬は順次購入物品のためその分の繰越金が発生した。また、データ保存ハードディスクなどについても順次購入物品であり、繰越金が発生している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越された額については、平成28年度においてテロメア維持機序の臨床検体による解析が中心に行われるため、この試薬購入に充当される予定である。また本分野における情報収集のため米国脳腫瘍学会の参加も予定しており、これに旅費として充当される見込みである。
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[Presentation] 再発膠芽腫におけるベバシズマブの治療成績2015
Author(s)
永野 大輔, 香川 尚己, 福永 貴典, 福屋 章悟, 高野 浩司, 平山 龍一, 有田 英之, 吉峰 俊樹
Organizer
第33回日本脳腫瘍学会
Place of Presentation
グランドプリンスホテル京都(京都府)
Year and Date
2015-12-07 – 2015-12-07
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[Presentation] 再発膠芽腫におけるベバシズマブの治療成績2015
Author(s)
永野 大輔, 橋本 直哉, 福永 貴典, 福屋 章悟, 高野 浩司, 平山 龍一, 有田 英之,香川 尚己, 吉峰 俊樹
Organizer
日本脳神経外科学会 第74回学術総会
Place of Presentation
ロイトン札幌(北海道)
Year and Date
2015-10-15 – 2015-10-15
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