2016 Fiscal Year Research-status Report
テロメア維持機序に基づく髄膜腫再発予測と治療法の開発
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15K19968
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永野 大輔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70726520)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 髄膜腫 / テロメア / テロメラーゼ / 増大速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
髄膜腫におけるテロメア延長機序と増大との関係を明らかにすべく、髄膜腫の臨床検体(ホルマリン固定パラフィン包埋検体及び凍結検体)の収集と、WHOグレードや年齢・性別などの臨床背景、臨床・病理診断、治療前及び治療後の経時的な画像データの取得を進めた。様々ながんにおいてテロメラーゼ逆転写酵素であるTERTのプロモーター領域の変異が指摘されており、悪性髄膜腫においても一部見られることから前年度から引き続きサンガーシークエンス法で検討したが、変異は認められなかった。このことから、頻度は通常の髄膜腫では少ないことが示唆される所見だった。また、前年度に引き続き、テロメア延長機序についての解析を進めるべくテロメラーゼリピート増幅プロトコル(TRAP)のアッセイの樹立を試みている。 さらに、前年度に引き続き、髄膜腫の増大をMRI画像を用いた継時的体積計測で評価した。特に体積増大速度が鈍化したものに対してはゴンペルツ曲線に近似を行ったところ、ゴンペルツ曲線に近似しでき成長の鈍化が観察できた。これらの腫瘍においてはテロメアの延長機序がないことが原因でないかと考え、今後の組織学的な評価などについて検討している。 さらに、髄膜腫の発生部位により遺伝子背景が異なることから、放射線画像を用いた発生部位のマッピングにより分類を行い、成長傾向、テロメアの延長機序・テロメア長との関係を検討を試みるべく、解析を進めている。Preliminaryには、200例超の髄膜腫についてvoxel-based lesion mapping (VLM法)を用い、その好発部位をMRI画像と明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
テロメア延長機序に関し、TERTプロモーター変異の検索については実施、また臨床情報と比較するための増大速度の情報の収集が進んでいる。しかし、テロメア長・テロメラーゼ活性、特にTRAPアッセイ法による評価においてアッセイの樹立に遅れが生じている状況である。また、テロメラーゼ活性測定などに適した保存状態の検体の選別を行う必要が発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
テロメラーゼ活性測定法として比較的確立されている商業ベースのアッセイの利用を行い、また新規に確保されクオリティの確保されている検体を用い解析を行う。またin vitroの細胞モデルの選定を進めておりこれを進める予定である。
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Causes of Carryover |
テロメラーゼ活性測定およびテロメア長の測定において実施が遅れており、これに対する試薬や物品購入のために繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に予定されていたテロメア維持機序の臨床検体による解析、及び細胞株を用いたin vitro実験が次年度に中心に行われるため、繰り越された額については、この試薬物品購入に充当される予定である。
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