2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな髄膜腫細胞株・動物モデルの樹立と髄膜腫に対する新規薬剤治療法の評価
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15K19976
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
岩味 健一郎 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80534841)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | brain tumor / meningioma / skull base |
Outline of Annual Research Achievements |
髄膜腫に対する新規治療法として、他の癌種でも開発が進んでいる免疫治療法の開発を進めている。有効で安全な免疫治療を行うためには、腫瘍特異的で発現量の豊富な標的分子の発見が不可欠であることから、とくに悪性髄膜腫検体において網羅的なRNA解析を行って、治療標的となりうる分子候補をピックアップした。さらにこれらピックアップされた標的分子候補に関して、免疫染色を施行して腫瘍組織内での分子発現量や発現部位を確認中である。現在は髄膜腫のみならず悪性脳腫瘍全般に対象を広げて解析を行っている。 また、髄膜腫の発生しやすい頭蓋底部に関し、これまで我々が行ってきた手術治療成績の解析も平行しておこなっており、頭蓋底部腫瘍に対する新規治療法開発の必要性を裏付けるデータを得ることができると考えている。 さらに、安全で効果的な脳腫瘍治療には脳機能・解剖の知識が不可欠である。脳機能の理解には過去に提唱された局在論のみでは不十分で、脳の複数個所を連合して機能させる脳内ネットワークの理解が重要となる。脳内ネットワークを構築しているのが、脳白質線維であり、我々は現在、脳白質構造の研究にも着手している。我々は従来の脳白質解剖方法改良し、より簡便で効率的な脳白質解剖方法を開発中である。本方法により脳白質解剖の理解が進めば、脳腫瘍治療の安全性向上が期待されるばかりでなく、脳腫瘍マウスモデル作成などの基礎研究や、人体における脳機能研究にも寄与することが可能であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
施設異動にともない、当初計画していた腫瘍細胞の移植実験が不可能となったため、研究計画の再調整が必要となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
髄膜腫に対する免疫治療法の開発が本研究の主体であり、症例数を増やしながら結果を解析する。また、本研究に関連すると思われる、従来法による治療成績結果の解析や、脳腫瘍治療に必要な脳白質解剖の研究も平行して行っており、これらの研究結果の報告も行うことで、当初の計画を上回る結果報告を行う。
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Causes of Carryover |
動物モデル作成を予定通り行うことができなかったために予算の使用にも遅れが生じたが、本年は研究成果の発表のために統計処理や学会参加、論文作成が予定されており、これらの経費として使用される見込みである。
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