2015 Fiscal Year Research-status Report
血管内治療デバイス留置における未破裂脳動脈瘤の塞栓指標の確立
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15K19985
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
森脇 健司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (50707213)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動脈瘤 / ステント / PIV |
Outline of Annual Research Achievements |
クリッピング術やコイル塞栓術に代わる新しい未破裂脳動脈瘤の塞栓治療法として、フローダイバーターステントという網目の細かいステントを留置し瘤内への血流を遮蔽し血栓化させ瘤塞栓を狙った治療が注目されている。本邦でも既に承認されたデバイスがあり、我々も同様のコンセプトに基づく多孔薄膜カバードステントの開発を進めている。 これらのデバイスを留置し瘤塞栓を行う場合、いかに瘤内の流れを遅くできるかが塞栓の可否に直接的に影響すると考えるが、留置前の瘤内流れの速さは個々の瘤で異なり、そのため塞栓し易さも異なる。そこで瘤内流れに密接に影響を及ぼす、動脈瘤の形状と瘤直下の母血管の弯曲度合いをパラメータに様々な形状の動脈瘤モデルを作製し、生体外模擬循環回路を用いて瘤モデル内の流れをPIVという手法を用いて可視化計測した。 まずは、動脈瘤形状として「ネック幅」、「ドーム径」、「瘤高さ」という3つの代表的な形状パラメータに着目して生体外流体実験を行い、ネック幅が広く、また、ドーム径と瘤高さが小さい、つまり体積の小さい動脈瘤は瘤内の流れが速くなり易く、瘤の塞栓には血流遮蔽効果の強いデバイスが求められることが明らかとなった。 次に、母血管形状として弯曲の「曲率比」を変更した。その結果、動脈瘤が弯曲血管の外縁にある場合、その曲率比が高いほど瘤内の流れは速くなり易く、瘤塞栓が困難になることを見出した。 本研究をさらに進めることで、瘤形状・母血管の弯曲の違いによる瘤内流れの変化が定量評価可能となり、脳動脈瘤塞栓用ステントの開発にも有用だと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、動脈瘤・母血管形状の変化が動脈瘤内の流れに及ぼす影響の評価が可能であることを見出し、着実に実験条件数を増やしていけば変化傾向を捉えることが可能と考えられる。本評価は、ステント型の動脈瘤塞栓デバイス(フローダイバーターステントなど)で治療を行う場合の、塞栓し易い/し難い瘤の判別に有用と考える。 特に、動脈瘤形状の変化に関しては、「ネック幅」、「ドーム径」、「瘤高さ」という3つの代表的な形状パラメータに着目して生体外流体実験を行い、ネック幅が広く、また、ドーム径と瘤高さが小さい、つまり体積の小さい動脈瘤は瘤内の流れが速くなり易く、瘤の塞栓には、血流遮蔽効果の強いデバイスが求められることが明らかとなった。 一方、母血管形状に関しては、弯曲に着目し母血管の「曲率比」を変更した。その結果、動脈瘤が弯曲血管の外縁にある場合、その曲率比が高いほど瘤内の流れは速く、瘤塞栓が困難になることを見出した。 また、塞栓デバイスの評価として、血管支持用ステントと動脈瘤塞栓用ステントであるフローダイバーターステント、動脈瘤塞栓用ステントとして開発中の多孔薄膜カバードステントの模擬体をそれぞれ作製し、デバイス留置時の瘤内流れの違いの評価も行った。デバイスの血流遮蔽能の定量評価に有用と考えている。 以上より、設定パラメータは平成28年度計画のものと若干変更があるものの、形状パラメータと瘤内流れの強さの関係の定量評価の可能性を検討する当該年度の目的は概ね達成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
動脈瘤形状変更の影響については、先に挙げた「ネック幅」、「ドーム径」、「瘤高さ」を変更し実験条件数を増やしていけば、それぞれのパラメータ変更に関する瘤内流れの変化を評価可能と考える。 母血管の弯曲の影響については、ある程度傾向が捉えられているものの、得られる結果にバラつきがあるため、助走区間の拡大や想定通りの流れとなっっていることの確認のための流速測定など行い実験システム自体の精度を高め、弯曲度合いの違いによる瘤内流れの変化を適切に定量評価することを目指す。
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Causes of Carryover |
実験回路の改良が想定より順調に進み消耗品費が少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度でより精度の高い計測が出来るよう部分的に回路をさらに改良し、追加検討事項を増やし、その消耗品費に充てる。
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