2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of reactive oxygen species on spinal ventral horn neurons and investigation of neuroprotective therapy for spinal cord injury
Project/Area Number |
15K19989
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大橋 正幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (70706720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 活性酸素 / 脊髄保護 / パッチクランプ / 過酸化水素 / 興奮毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷の重篤化には活性酸素(ROS)が深く関与しており、その機序の一つとして、「興奮毒性」が報告されている。すなわち過剰に放出されたグルタミン酸(興奮性神経伝達物質)による過剰な細胞興奮とそれに引き続く細胞内へのCa2+流入が細胞死を引き起こす。平成27年度はROSの一つである過酸化水素(H2O2)が脊髄前角運動ニューロンのシナプス伝達に与える作用機序を検討し、興奮性シナプス前終末のN型電位依存性Ca2+チャネル(VGCC)、リアノジン受容体、イノシトール3リン酸受容体の活性化を介して興奮性シナプス前終末からのグルタミン酸放出を増強させることを報告した。平成29年度はH2O2が脊髄前角ニューロン自体の興奮性に与える影響およびその機序をパッチクランプ法で検討した。さらに、前年度までの結果をもとに、脊髄損傷モデルラットを用いて各種薬剤の脊髄保護効果の検討を予定した。その結果、パッチクランプ法を用いた電気生理学的実験において、電流固定法では、H2O2投与により活動電位の発生頻度、膜抵抗は減少し、rheobaseは増加した。これらの変化はビククリン(BIC)20 microMでは抑制されず、40 microMで完全に抑制され、100 microMでは興奮性は逆に増強した。後過分極電位(AHP)の振幅はH2O2投与により減少した。電位固定法ではGABA作動性tonic currentはH2O2投与により増加した。以上より、H2O2はAHPを低下させて細胞興奮性を増加させる作用をもつものの、シナプス外GABA-A受容体が活性化することで過剰な興奮を抑制していた。すなわち、シナプス外GABA-A受容体は興奮毒性に対する生体防御機構として働いていると考えられた。脊髄損傷モデルラットを用いた実験では、N型VGCC阻害薬であるジコノチド投与によりBBBスコアは損傷後7日目より有意に改善した。
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Research Products
(3 results)