2016 Fiscal Year Research-status Report
思春期特発性側弯症患者の3D椎体形態解析による椎体変形の可逆性についての検討
Project/Area Number |
15K19994
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牧野 孝洋 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (40724373)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 思春期特発性側弯症 / 椎体 / 非対称性 / 可逆性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、思春期特発性側弯症における椎体形態の経時的変化を3D骨形態解析を用いて詳細に検討することにより、側弯症の成因や装具治療に新たなエビデンスを確立することである。 平成27年度は思春期特発性側弯症の側弯ならびに椎体の変形が患者のQOLに与える影響を調査し、腰痛の自覚が34.7%と高率であることをあきらかにした。また、椎体の詳細な検討により、カーブの凹側凸側において輪状骨端の骨化に差があることを明らかにした。 平成28年度は、手術をおこなった患者において、側弯の矯正すなわち配列が直になることが椎体の変形に与える影響を調査し、カーブの頂点以外では椎体の左右非対称性が改善するが、カーブの頂点付近においては椎体の左右非対称性の改善が生じにくいことを明らかにした。このことは、カーブの強い頂椎付近では椎体に対し左右不均衡な荷重が生じているため、荷重の大きい凹側では椎体の成長能がすでに失われており、手術による荷重の是正を行っても椎体の成長が不可能となっている可能性がある。一方、近年の側弯の原因遺伝子に対する網羅的解析でいくつかの候補遺伝子が報告されているが、これらのうちのいくつかは椎体の成長に影響を及ぼしうることが報告されている。特発性側弯症の頂椎付近において、このような遺伝子発現の左右差が生じているために、椎体の左右非対称性が生じている可能性もある。 平成29年度においては、思春期特発性側弯症以外の側弯を呈する症例の椎体形態と、思春期特発性側弯症の椎体形態を比較することで、思春期特発性側弯症の椎体変形の特徴とその成因について、調査検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
思春期特発性側弯症の手術例における手術前後の椎体変形の解析は終了し、論文化された。今後、自然経過の検討として、原因の明らかな筋ジストロフィーや胸郭原性の側弯と、思春期特発性側弯との椎体形態の差について検討を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
非手術例に関する経時的CT撮像による椎体形態の検討を行う予定であったが、全脊柱CTを複数回とることによる小児に対する放射線被ばくの影響がたとえ線量を減らしてCTを撮像するとしても望ましくないとIRBから判断されたため、平成29年度においては原因の明らかな筋ジストロフィーの側弯や胸郭原性側弯と、思春期特発性側弯との椎体形態の差について検討を行い、特発性側弯症の病態解明の一助とする予定である
|
Causes of Carryover |
研究の成果としての学会発表を検討していたが、昨今の世界情勢の不安定化のため、今年度は海外での研究発表を自粛したため、旅費が生じなかった。また、人件費に関しては研究者本人が3D骨モデルの作成にあたったため、人件費は不要となった。これらのため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな症例の蓄積と、種々の側弯症に対する椎体骨モデルの作成を行う必要が生じているため、補助員による骨モデルの作成を依頼予定であり、人件費として使用予定である。また、椎体骨モデル作成のデスクトップPCの更新が解析上必要となってきており、購入予定である。これに伴い、統計処理用のソフトウエアも購入予定である。
|
Research Products
(4 results)