2016 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド性骨壊死予防の臨床応用可能な条件の確立-高磁場MRIの定量評価を用いて
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15K20010
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石田 雅史 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40725660)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 特発性大腿骨頭壊死症 / ステロイド / MRI / 電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的]ステロイド関連の骨壊死の予防法がいくつか報告されているが,多くはステロイドに先行投与されており,ステロイドと同日に開始し効果がある予防法は少ない.我々は骨壊死予防の機序としてステロイド投与後の骨内血流に注目し,Dynamic contrast enhanced MRI(DCE-MRI)を用いて評価してきた.電気刺激は血管新生や血管拡張作用をもち,骨壊死予防に有効である可能性がある.本研究では電気刺激をステロイドと同日に開始し,DCE-MRIで骨内血流を評価することを目的とした. [方法]骨折治療に臨床利用されている電気刺激装置を用いた.対象は日本白色家兎で,ステロイド投与のみの対照群(n=5)と,ステロイド投与同日から2週間,1日10時間の電気刺激を与えた電気刺激群(n=5)とした.DCE-MRIは40回連続撮像し,10回目の撮像時に造影剤を急速静注した.大腿骨に関心領域を設定し,時間0を基準にした信号比をRelative intensity(RI)とした.RIを経時的にプロットしてtime signal intensity curve(TIC)を作成し,造影前のa相,造影剤投与直後にRIが増加する時期のb相および造影剤投与後定常状態となるc相に分けた.血流は,(1)c相の平均RIをa相の平均RIで除した値,(2)造影剤投与後のTICの傾き,(3)b相のRI(t)の和で評価した.DCE-MRIは電気刺激前,ステロイド投与前,投与後1,5,10,14日目に撮像した.(1)~(3)のステロイド投与前と投与後の最小値を比較した.また,各撮像日において2群間の(1)~(3)を比較した.[結果]対照群ではステロイド投与後の各最小値が有意に低下したが,電気刺激群では有意な低下を認めなかった.撮像日ごとの比較では電気刺激群で各値が無処置群より高い傾向があった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究結果から,電気刺激によってステロイド投与後も骨内血流が維持されたと考えた.ステロイドと同日に物理刺激療法を開始して効果が確認された初めての報告であり,今後の予防法の臨床応用の基礎データとして有用である.また,当該年度には本研究結果を学会で報告した.現在,この実験結果をもとに論文を作成中である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,本研究結果から論文を作成中であり,次年度での投稿を予定している.
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Causes of Carryover |
当該年度に必要な実験試薬や物品を購買したが,予定よりも使用量が少なく研究を遂行できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の追加実験を進めるに当たって使用する実験試薬や物品や実験動物を購入する予定である。
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