2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K20014
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
塚本 翔 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20707658)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨・軟骨代謝学 / 骨系統疾患 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨形成を強力に促進するBMP、骨格筋線維の肥大化を抑制するMyostatinや、軟骨形成に重要なTGF-βは、TGF-βファミリーに分類される成長因子群である。TGF-βファミリーの因子は、多彩な生物活性を示す一方で、その活性には転写共役因子であるSmad4を共通に必要とする。本研究では、Cre-LoxPシステムを用いて、薬剤誘導性にin vivoでSmad4を任意の時期に欠失できるマウスを樹立し骨・軟骨組織や筋組織等の運動器の表現型を組織学的・分子生物学的に解析することを目的とする。平成27年度は、タモキシフェン誘導性Smad4欠失マウスを樹立することに成功し、予備的な解析結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Floxed Smad4マウスとタモキシフェン-Creマウスを交配し、タモキシフェン誘導性Smad4欠失マウスを樹立することに成功した。さらに、タモキシフェン誘導性に蛍光タンパク質GFPを発現するレポーターマウスを用いて、骨・軟骨組織での遺伝子組み換え効率に対するタモキシフェン投与量の最適化を行った。予備的な実験結果から、出生後のマウスにおいて、Smad4を欠失すると特に軟骨組織に変化が認められることが示唆された。現在、骨形態計測及びマイクロCTを使った三次元解析によって詳細な表現型を解析中である。さらに、タモキシフェン誘導性Smad4欠失マウスの肋軟骨から軟骨細胞を分取しin vitroでSmad4を欠失することのできる軟骨細胞の樹立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の実験から、TGF-βファミリーの細胞内シグナルを伝達するSmad4が出生後のマウスの運動器においても重要な役割を果たすことが明らかとなった。平成28年度は、in vivoにおける骨・軟骨組織の詳細な表現型解析を引き続き行い、並行してSmad4の下流で運動器を制御している分子を検討するために、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行う予定である。さらに、網羅的解析から運動器の制御に重要と予想される遺伝子について、培養細胞で過剰発現及びノックダウンを行い作用メカニズムを検討する。以上の一連の実験により、TGF-βファミリーによるSmad4を介した運動器制御の生理的役割を解明する。
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Causes of Carryover |
細胞培養で使用するディスポーザブル器具の使用量が予定より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の一般消耗品の購入に充てる。
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