2016 Fiscal Year Annual Research Report
Control of neurotoxicity of inhaled anesthetics by endoplasmic reticulum chemical chaperone
Project/Area Number |
15K20031
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小見田 真理 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90589194)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 麻酔薬 / 神経細胞死 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
・目的:麻酔薬は可逆性を前提として使用されてきたが、近年神経毒性が指摘されている。こうした毒性に対して、胎児や新生児期の発達過程の神経細胞や成人においても存在する神経幹細胞は特に感受性が高いと考えられている。吸入麻酔薬曝露によって、旧姓の神経細胞死や長期的な認知機能障害の発生が助長される可能性が報告されているが、その分子機序は明らかではなかった。我々は小胞体機能が障害された遺伝子変異マウスを用いて、吸入麻酔薬の神経毒性に小胞体機能障害が関与していることを世界に先駆けて報告した、本研究ではさらに研究を発達させ、小胞体ストレスがどのように神経細胞毒性に関与しているのかを検討した。 ・方法:変異BiP(小胞体シャペロン分子)ノックインマウスと野生型マウスを胎生期に吸入麻酔薬セボフルランに曝露し、短期的に神経細胞死がどのように起こるかを、組織学的、生化学的検討を行い観察した。また、長期的な認知学習機能障害が生じるかを8方向迷路実験を行い観察した。 ・結果:胎児マウス脳の組織像では、変異BiPノックインマウス、特にホモ変異マウスにおいて、細胞死が多く誘導される傾向がみられた。ウエスタンブロット解析の結果でも、セボフルラン曝露によって、ホモ変異マウスではアポトーシス関連分子CHOPの発言が増加した。 迷路実験では、野生型マウスに比べて変異マウスでは年齢による認知機能の低下が早い傾向がみられたが、セボフルラン曝露によって、老化が早まる可能性が示唆された。 ・考察:セボフルラン曝露によってBiPの発現誘導がみられることから、吸入麻酔薬は小胞体機能を阻害することが示唆された。胎生期のセボフルランの曝露は、若年マウスの認知機能を低下させ、老化を促進することも示唆された。既に何らかの障害を受けている細胞は吸入麻酔薬による障害が代償されない可能性があるため、臨床において使用量の調節が必要だと考えられる。
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Research Products
(1 results)