2016 Fiscal Year Research-status Report
周術期脳傷害に対する再生医療の応用を目指した基礎的研究
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15K20055
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
太田 晴子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (90534751)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
周術期には虚血や低酸素状態などによる脳障害を来たす可能性があり、脳保護についての研究が進み、それらの治験に基づいた様々な脳保護療法が行われているが、一旦失われた脳組織・脳機能を回復するような治療法は確立されていない。近年、生後も脳内でニューロンが産生され、脳機能の維持や再生に寄与することが分かってきたことから、本研究では、脳に内在する神経再生機構に着目し、脳傷害後の再生医療による治療法の開発を目指している。 前年度は、生後早期の野生型マウスの脳を用いて、ニューロンの三次元培養と脳スライス培養を行い、培養中にニューロンは形態を変化させながら移動することと、ニューロン新生部位である脳室下帯からニューロン定着部位である嗅球までニューロンが移動する際に、その速度が嗅球近くで減速することを明らかにした。さらに、ニューロン移動制御因子として着目したGmipの発現抑制遺伝子ベクターを導入したニューロンを用いた解析により、野生型ニューロンよりGmipを導入したニューロンで移動速度が促進し、減速が弱くなることを明らかにした。 今年度は、Gmipの下流分子であるRhoAに着目して RhoAが新生ニューロンに発現することを確認し、移動中の新生ニューロンの形態変化とともに細胞内のRhoAの活性化部位が変化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に引き続き行った、健常脳におけるニューロン移動の解析に時間を要した。また、新生ニューロン細胞内のRhoAに関する実験を組み入れたため、脳傷害モデルの作成と傷害部位に移動するニューロンにおけるGmipの関与についての解析はまだ開始できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
脳傷害モデルの作成と傷害部位に移動するニューロンにおけるGmipの関与についての解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究の遂行に時間を要したため、脳傷害モデルマウスの作成と解析を次年度に行う必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
脳傷害モデルマウスの作成と解析のための実験動物、試薬・抗体、組織培養・動物実験用消耗品の購入、情報収集や討論のための学会・研究会出張費用として使用する予定である。
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