2017 Fiscal Year Annual Research Report
Spinal cord ischemia-reperfusion injury: a microdialysis study in the spinal ventral horn
Project/Area Number |
15K20057
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
末廣 浩一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10735806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脊髄虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化が進行する本邦においては、心疾患や脳血管疾患などの血管病が、がんに次いで日本人の死因の2位になっている。血管病の1つである胸部大動脈瘤は瘤径が拡大した症例の非手術予後は不良である。一方、手術の重篤な術後合併症として脊髄虚血による対麻痺があり頻度は約5%と高い。回復困難な下肢運動機能低下が生じるため予防が非常に重要となるが、脊髄虚血の機序はまだ未解明であり、従って予防法も不十分である。過去の報告では脊髄虚血モデルラットにおいて、髄液中のグルタミン酸濃度が上昇することが判明している。本研究は、脊髄虚血モデルラットを作成し、脊髄前角でマイクロダイアライシス法を用い連続的にグルタミン酸濃度を測定することで脊髄虚血の機序の解明を行い、これに対する治療法の有効性について検討を行う事を目的としている。 我々は、脊髄前角にてマイクロダイアライシスを行い、脊髄虚血後に脊髄前角のグルタミン酸濃度が直ちに上昇することを明らかにした。同時に下肢の運動誘発電位を測定し、脊髄虚血により運動誘発電位が抑制されることを確認した。上肢、下肢を駆血することによるremote ischemic preconditioning (RIPC)を行うと、脊髄前角でのグルタミン酸濃度の上昇、運動誘発電位の低下が有意に抑制され、RIPCが脊髄虚血予防に有用である事を発見した。またこの脊髄虚血予防効果がNMDA受容体拮抗薬の前投与により有意に抑制される事から、RIPCの脊髄保護効果にNMDA受容体が関与する事を発見した。
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