2015 Fiscal Year Research-status Report
GABA動態から見た脳成長過程に与える吸入麻酔薬の影響に関する研究
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15K20059
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
安藤 望 順天堂大学, 医学部, 助手 (20570930)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 線条体 / 電気生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内神経ネットワーク解析に際し,発達期および老化モデルマウス脳のスライス標本に対して集合電位記録をはじめWhole cell Patch clamp法による細胞内電流記録を行いシナプス伝達制御機構を研究した.神経細胞間の情報伝達はシナプスを介するネットワークが主要な機能構造であると考えられていたが,1995年頃よりシナプス領域外に存在する受容体の機能と特性が明らかとなり,それまで脇役であったこの領域外受容体が脳機能調節の主役となってきた.なかでもシナプス領域外GABA受容体はGABAに対する高い親和性と緩慢な脱感作特性から細胞周囲のGABA濃度センサーとして働き,持続的は電流(Tonic GABA current)を提供している.そこで私たちも実験を進め,吸入麻酔薬がこの領域外GABA受容体に対する“強い”抑制効果を報告してきた. また昨今,発達期の脳に対する麻酔薬の悪影響が警鐘されており,社会的に高い関心を集めている.本研究では実験対象を日齢7から35日幼少期のマウスを用いることで,吸入麻酔薬の脳神経細胞への影響を電気生理学的観点から観察研究した.実際の結果としては、マウス線条体MSニューロンおよびアセチルコリンニューロンのTonic GABA 電流に対し,吸入麻酔薬Sevoflurane は大きく影響していること,また,発達期の脳についてその影響度は日齢間で差を認めることが示唆された. 今後の研究課題としては,老化脳に対する吸入麻酔薬の影響を老化モデルのトランスジェニックマウスおよびSevofluraneを用いることで同様の電気生理学的観点から進めていきたいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
線条体MSニューロンおよびアセチルコリンニューロンに対しWhole cell patch clamp法を用いて細胞内電流記録及び,電圧記録を行っている.現在の研究課題としては記録電極内のATPを枯渇させた状態での記録を行うことで,虚血脳を対象とした実験を行う.また,K-ATPチャネルに対する吸入麻酔薬セボフルランの影響を見るため,K-ATPチャネルのブロッカーであるグリベンクラマイド用いた実験を行なっている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の実験対象として上記したような虚血脳および,K-ATPチャネルを対象とした実験を行っているが,上記実験についての成果を踏まえ,研究企画書に明記したGABAを対象とした実験についても行っていきたいと考えている. 研究方法としては同様の電気生理学的手法を用い,GABA電流に対する吸入麻酔薬の影響を研究する.現在までの研究で線条体介在ニューロンを対象としたが,海馬神経細胞に対象を広げ,また,老化モデルのトランスジェニックマウスに対する同様の実験を行い,老化現象とGABA受容体と関連性を検討し,術後認知機能障害との関連性を探究する.
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Causes of Carryover |
実験内容が当初の計画とは違い、GABAを対象とした研究から虚血脳を対象とした研究へ変更されたため、使用薬剤、実験器具等の金額に差が出たため。 また、大学研究室の建て替えに伴い実験、研究に制限があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在進行中の実験の成果が出下だ今後は当初の計画にあるGABAを対象とした実験を行う予定である。その際の実験器具等の費用として使用予定である。
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