2015 Fiscal Year Research-status Report
過分極誘発陽イオンチャネルを標的とした慢性疼痛の遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
15K20064
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大下 健輔 久留米大学, 医学部, 助教 (70529510)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | HCN / 後根神経節 / 脊髄後角 / 遺伝子治療 / 炎症性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
過分極誘発陽イオンチャネルはHCN1~4のサブタイプがあり、そのうちHCN2は疼痛治療のターゲットとして注目されつつある。そこでHCN2の優性抑制変異体を作成し、アデノ随伴ウイルスベクターを使って脊髄後根神経節細胞に発現させ、局所的かつ選択的にHCN2の機能を抑制する。これによって炎症性疼痛を軽減することができるか検討し、疼痛治療の新たな戦略を開発することを目的とした。現在HCN2-AAAのcDNAをレンチウイルスベクターにサブクローニングし、実際のウイルス粒子の作成ステップまできている。また、マウスの後根神経節の摘出、酵素処理後の初代培養に成功した。ホールセルパッチクランプ法を用いて、初代培養後3日目の単離後根神経節細胞から、自発活動電位の記録に成功した。さらに、同一細胞において過分極で時間依存性に増大し、caesium sensitiveであるHCN電流の記録に成功した。次にウイルス粒子の作動確認を行う予定である。一方でHCN2と同様に細胞内cAMP感受性を持つHCN4の痛覚伝導路に対する関与を調べた。マウス生体内におけるHCN4の分布を調べるため、HCN4の翻訳開始点にルシフェラーゼ遺伝子をノックインしたマウス (HCN4 +/Lcu)を作製した。中枢神経系におけるHCN4由来の化学発光を検索したところ、脊髄後角に一致したシグナルを認めることができた。さらに免疫組織染色を用いてHCN4発現部位を詳細に検討したところ、脊髄後角第Ⅱ層のニューロンに選択的にHCN4が発現していることが判明した。このHCN4 +/Lcuマウスを用いて、炎症性疼痛モデルを作成した。ホルマリン注入側の脊髄後角における化学発光が24時間、48時間後に低下していることが明らかとなった。HCN4は脊髄において後角第2層に特異的に発現しており、炎症性疼痛によりHCN4発現が変化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルス粒子作成段階まで研究は進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、培養後根神経節細胞を用いてウイルスベクターを投与し、パッチクランプ法も用いて、作動確認を行う。加えて、HCN4の脊髄後角における生理的機能も電気生理学的に解析する。
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Causes of Carryover |
27年度に後根神経節の単離培養を行う予定であったが、脊髄後角を用いた実験解析を多く行ったため、培地等の消耗品の使用が少なく、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に実際に培養後根神経節を用いた実験系を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。
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