2015 Fiscal Year Research-status Report
泌尿器癌における治療増感作用の分子メカニズム解明と治療展開
Project/Area Number |
15K20072
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中山 貴之 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (10727225)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 前立腺癌 / 放射線 / 抗癌剤 / 治療耐性因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は前立腺癌細胞株 (DU145, PC3, LNCaP)を対象として研究を進めた。申請者らのグループでは、前立腺癌細胞株に対する放射線治療および抗癌剤治療 (ドセタキセル)において、転写因子であるSignal transducer and activator of transcription 1 (STAT1)が治療耐性因子であることを明らかにしていた。さらに、STAT1高発現前立腺癌細胞株において、ゾレドロン酸を投与することにより、内在性STAT1の発現低下を認め、放射線治療増感作用があることを確認していた。平成27年度に行った研究により、STAT1高発現前立腺癌細胞株 (DU145)において、ゾレドロン酸を投与することにより抗癌剤治療増感作用を認め、さらに、抗癌剤治療増感作用にSTAT1発現低下が関連していることが明らかになった。。また、ビスホスホネートによるSTAT1抑制の分子生物学的機序の解析のため、STAT1高発現前立腺癌細胞株に対してプロテアソーム阻害剤MG132投与後にゾレドロン酸を投与すると、STAT1の発現低下を認めなかった。すなわち、ビスホスホネートによるSTAT1発現低下は転写後の修飾によるものであることがが示唆された。 平成27年度の研究を通して、STAT1が前立腺癌細胞株における放射線治療および抗癌剤治療における治療耐性因子であることの知見を深め、さらにビスホスホネートによるSTAT1発現低下のメカニズムに関する新知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設で利用可能な放射線照射装置の故障が生じたため、研究計画の遂行に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前立腺癌細胞株において、さらに研究計画をすすめ、膀胱癌細胞株においても、STAT1が放射線治療、抗癌剤治療の治療耐性因子であるか、ビスホスホネートによるSTAT1発現低下を介した治療増感作用が見られるかなどついても検討を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当施設の放射線照射装置の故障などにより研究計画の遅れが生じ、一部の実験が遂行不可能であったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の研究計画を達成するために研究環境の整備を進めること、学会への参加のための旅費に使用することなどを計画している。
|