2015 Fiscal Year Research-status Report
Hsp90とFGFR3を同時標的とした膀胱癌に対する新規分子標的療法の樹立
Project/Area Number |
15K20073
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (50748358)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋層浸潤性膀胱癌 / 放射線化学療法 / FGFR3 / CCNB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①臨床検体を用いた筋層浸潤性膀胱癌におけるFGFR3の放射線化学療法耐性への関与の解析、②膀胱癌細胞株およびマウスモデルを用いたFGFR3発現と膀胱癌細胞の増殖・浸潤・転移能の関連の解析を軸としている。当該年度は、①に関連する研究として、化学放射線療法を施行した筋層浸潤性膀胱癌の臨床検体を用いて、FGFR3とともに治療耐性を規定していると考えられる蛋白群の評価を行った。 申請者の所属する研究室は、放射線化学療法後に膀胱部分切除もしくは膀胱全摘除を施行した筋層浸潤性膀胱癌の臨床コホート(2016年3月現在で247例)を有している。この内、放射線化学療法前の経尿道的切除標本が解析可能な113例について、FGFR3とともに治療耐性を規定していると考えられる蛋白群の評価を行った。先行研究を参照して複数の蛋白に注目し、免疫染色を用いて、上記切除検体におけるその陽性率と、放射線化学療法の短期効果の関係を検討したところ、CCNB1に関して、以下に示すような有意な相関が得られた。放射線化学療法後の切除検体において残存病変を認めないCR群では、non-CR群と比較してCCNB1が有意に高値を示しており、CCNB1陽性率0.17をカットオフ値としてCCNB1陽性率高値群(48例)と低値群(65例)に分類すると、放射線化学療法によるCR達成率は65% vs. 35%(p <0.01)と、前者の方が有意差をもって放射線化学療法が奏効しているという結果であった。 CCNB1は、細胞周期G2期からM期への移行に関与する蛋白質であり、悪性腫瘍においては、その高発現は腫瘍細胞の活動性、および宿主の不良な予後と相関するとされている。本研究結果は、本来不良な予後が予測されるCCNB1高発現の筋層浸潤性膀胱癌に対して、放射線化学療法が特に有効である可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FGFR3に関する検討に先駆け、化学放射線療法を施行した筋層浸潤性膀胱癌の臨床検体を用いた、FGFR3とともに治療耐性を規定していると考えられる蛋白群の評価を行うべきと判断したため、この検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度より、FGFR3に関する検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
先に述べた通り、予定した研究内容からの変更があったため、当該年度に実施した研究に用いた試薬等の物品購入に、予定していたよりも予算を要しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本来、当該年度に実施予定であった研究に必要な物品購入に充てる計画である。
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