2015 Fiscal Year Research-status Report
頻尿に対する新しいアプローチ:単純ヘルペスウイルスベクターを使用した遺伝子治療
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15K20081
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
横山 仁 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (00596372)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TRPM8 / BCTC / Cold stress / TRPA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒冷刺激モデル、間質性膀胱炎モデルを使用して、TRPM8アゴニスト、アンタゴニストが排尿に及ぼす効果について検討した。すべての実験には250-270g 雌SDラットを用いた。膀胱内にTRPV1アゴニストであるレジニフェラトキシン(RTx)を注入したのちに、ホルマリンで還流固定を行い、脊髄L6を摘出した。免疫染色にてc-fos陽性細胞を観察した。また、還流固定をせずに脊髄L6を摘出し、RT-PCRにてc-fosmRNAを定量した。免疫染色、RT-PCRいずれの場合も有意にc-fosの増加を認めた。次に、寒冷刺激(4℃冷蔵庫内に20分)を与えたラットの脊髄L6を同様に摘出し、免疫染色、RT-PCRを行った。C-fosは増加傾向を認めたが統計学的に有意差は認めなかった。次いで、TRPM8アゴニストであるメンソールをラットの腰から臀部に塗布したのちに同様の実験を行った。免疫染色、RT-PCRいずれにおいても有意に脊髄L6のc-fosは増加していた。 以前我々は、ラットに寒冷刺激を与えても、メンソールを塗布しても、いずれの場合も膀胱内圧測定にて排尿間隔の低下(頻尿)を呈することを確認している。寒冷刺激による頻尿がラット皮膚TRPM8を介しての反応であると考察した。今回、寒冷刺激においては脊髄L6のc-fosに有意差は認められなかった。一方でメンソール刺激においてはc-fosの増加を認めた。いずれの場合もラットは頻尿を呈するが、その作用機序に違いが存在する可能性が示唆された。今後報告を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね実験計画書に沿って行われているが、新規の機器導入に当たり、実験プロトコールの再確認が必要であり、今後進行が遅れる可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
寒冷刺激、TRPM8アゴニスト(メンソール)の刺激、いずれにおいても全く同様のパターンの頻尿を呈することは、今までの実験で確認されていたことである。今回、両刺激において、脊髄c-fosの変化に違いが認められたことは新たな見識であった。これまで我々は寒冷刺激はおおむねTRPPM8を介しての反応であると考察していたが、作用機序が異なる可能性も示唆された。本研究の最終的な目的である、寒冷刺激による遺伝子治療を確立するために、今後新たなターゲットとしてTRPA1やベータ3受容体の関与についても同様に実験を進めていく予定である。また、われわれは正常ラットではなく、病態モデルを(膀胱出口部閉塞モデル、卵巣提出モデル、高血圧モデルなど)確立して実験を行っている。今後、これら病態モデルを用いても同様の実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
免疫染色用の抗体、RT-PCR用のプライマーについて、当初の予定よりも少量にて研究できたため、今回は次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて消耗品費として使用する。
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