2016 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of prostatitis model due to reflex of artificial urine
Project/Area Number |
15K20082
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舟橋 康人 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70534824)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前立腺 / 炎症 / 尿酸 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺に炎症が起こる機序として、細菌・ウイルスの感染、加齢に伴う性ホルモン環境の変化、前立腺の虚血、自己免疫の関与、尿の前立腺導管内への逆流などが提唱されている。過去の基礎研究では、細菌性、ホルモン性、自己免疫性、化学物質誘発前立腺炎ラットモデルなどが用いられているが、小動物とヒトの下部尿路の解剖学的違いもあり、これらのモデルの組織像はヒトの慢性前立腺炎とは大きく違うことが問題である。一方、前立腺肥大症患者で起こる排尿に伴う尿の前立腺内への逆流が炎症と関係していることが予想されるが、同様の機序で炎症を起こす動物モデルは存在しなかった。我々は過去に雄性ラットの膀胱より尿を直接採取し外尿道口より注入すると、1週間後に前立腺に炎症と間質の増生が起こり、排尿筋過活動となることを報告した。このモデルは作成が容易であり、ヒトの慢性前立腺炎と組織像が似ているという利点があるが、一方で尿中には非常に多くの成分が含まれており、どの成分が炎症の原因となっているか分からないことや、ラットにより尿の組成が一定でない点など限界もあった。 本研究では尿酸の濃度を変えた人工尿をラット外尿道口より注入し前立腺に炎症が起こるか検討した。組織学的検討、および炎症性サイトカインの検討では尿酸を含む人工尿でのみラット前立腺に炎症が惹起された。前立腺に炎症を認めたラットでは、前立腺の血流が低下していた。さらに頻尿を呈していることも確認された。 尿酸が前立腺に炎症を起こす機序を解明するために、ヒト前立腺培養細胞を用いて尿酸の影響を検討した。間質細胞を尿酸で刺激すると、酸化ストレスにより炎症性変化が起こることが確認された。 以上の結果より、尿の前立腺導管内への流入による炎症の惹起には尿中の尿酸が関与しており、これは間質細胞の酸化ストレス経路の活性化が機序であることが解明された。
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