2015 Fiscal Year Research-status Report
転移巣に注目した治療抵抗性尿路上皮癌に対する新規治療標的因子の探索
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15K20085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河嶋 厚成 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教〈常勤) (50746568)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
①.解析サンプルの選択およびDNA・RNA抽出 浸潤性尿路上皮癌の診断のもと、化学療法を施行した後に転移巣切除術を施行した症例および病理解剖を行った症例から①未治療原発巣 ②化学療法施行後原発巣 ③化学療法施行後転移巣のFFPEサンプルをからRNAを抽出するも、RNA qualityが網羅的解析に適さない結果となった。そのため、新鮮外科切除標本からのRNA抽出を行った。現在リンパ節転移もしくは肺転移を有する尿路上皮癌の原発および転移巣の新鮮標本からRNA抽出を行い、②へすすんでいる。 ②.mRNAに対するトランスクリプトームの包括的解析でまず、4症例において薬剤の使用のないリンパ節転移・原発巣を比較検討した。現在我々は、癌局所内における免疫状態の評価も同時に行っており、3例において原発巣とリンパ節転移部位での免疫担当細胞表面分子発現プロファイルが類似していることを突き止めた。リンパ節転移では原発巣と比較し、EMTマーカーの上昇や細胞接着因子の上昇が認められた。現在、さらなるデータの解析を行っているところである。 ③.DNAに対する膀胱癌に特徴的な遺伝子をターゲットとした次世代シークエンス TCGA Research Networkにより、浸潤性膀胱癌における特徴的なMutation遺伝子をターゲットとした次世代シークエンスを行うため、高頻度で存在するとされるp53関連グループ、Chromatin Remodelingグループ、ERK-PI3Kを中心とするSurvival Pathwayグループに基づいたターゲットパネルを作成するべく既論文のデータを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画していたFFPEサンプルからのRNA抽出が困難であったため 外科切除サンプルの収集に時間を要している。 また、抗がん剤を使用した後のサンプルの収集にも困難を極めており 計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
④.膀胱癌細胞株・CTOS・マウス異所性移植モデルを使用した遺伝子機能解析平成27年度に得られた、抗癌剤抵抗性尿路上皮癌における特徴的な遺伝子発現、スプライシングの異常またはSomatic Mutationを用い、現在まで判明していない抗癌剤抵抗能の獲得メカニズムの解明を行う。大阪大学泌尿器科において作成されたCTOSやマウス異所性移植モデルを使用し遺伝子機能解析を行い、新規治療標的因子の探索を目的とする。 ⑤.Bioinformaticsを使用したNetwork Analysisによるクローン解析 Somatic Mutationの解析からNetwork Analysisを用いて、原発巣および転移巣を含めたクローン解析を行い、転移巣病変に対する治療前生検の必要性の有無を検討するNetwork Analysisはすでに研究代表者の過去の研究において経験済みであり、解析は可能である。 ⑥.血液サンプルを用いたCirculating Tumor DNAの評価 血液サンプルから採取されたCirculating Tumor DNAは担癌患者において検出され、治療判定マーカーとして使用できる可能性が報告されている。現在CTやMRIなどでしか評価ができない病変の治療効果判定を可能とすることを目的として、大阪大学泌尿器科において集積された患者血液サンプルを用いて、上記で同定されSomatic Mutationの検討を行い、血液マーカーとしての妥当性を評価する。
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Causes of Carryover |
昨年時点で採取されているサンプル数が限られており、余剰金が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
逐次サンプルが採取した際に解析を追加していく予定である。
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